WRC2025/07/04

小暮ひかる、TGR WRCチャレンジプログラムを離脱

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラムの2期生の小暮ひかるがプログラムを離れることが明らかになった。

 小暮は、チャレンジプログラムの2期生として2022年からフィンランドにわたり、さまざまなトレーニングのほかこれまでに30戦に出場してきた。2024年からはトヨタGRヤリスRally2での挑戦を開始したが、昨年のラリー・サルディニア・サルディニアで鎖骨を負傷したあと、その完治に時間を要したことも以降の挑戦でプレッシャーとなっていたかもしれない。それでも昨年のラリー・ジャパンでは自己最高位となるWRC総合12位、WRC2では5位でフィニッシュ、今季の開幕戦モンテカルロでも総合22位という幸先のいいシーズンスタートを迎えたが、その後はデイリタイアやクラッシュなどが続き、先週のアクロポリス・ラリー・ギリシャでも土曜日の朝のアクシデントでラリーを終えていた。

 小暮は2週間後のラリー・エストニアへエントリーしているものの、7月4日付けでプログラムを離れるためイベントには出場しないと説明している。

「本日をもってTGR WRCチャレンジプログラムから離れることになりました。以降のイベントには出場をいたしません。年初から厳しくフラストレーションがたまる状況が続いていました。このネガティブな状況をなんとか変えようとできる限りのことを試みてきました。努力もあってかパフォーマンスの面では着実に改善がみられ、イベントを重ねるごとにトップとのタイム差は縮まってきたと実感できていました。一方で些細なミスが、運悪く最悪の結果につながってしまうことがここ数戦続き、精神的につらく、もどかしい日々でした。シーズン途中でプログラム終了の決断がくだされたことは非常に残念です。しかし、これがモータースポーツであり、常に結果を求められる厳しい世界であることも理解しています」

「この4年間をふりかえると、このプログラムは私の人生を大きく変えました。フィンランドに移住し、ラリーのためにあらゆる時間を費やし、努力しました。当初はグラベル路面での走行経験がほとんどなく、初戦の走りがひどかったことを今でも覚えています。しかし、同時に、素晴らしく夢のような日々を心から楽しんでいました。しかしながら、昨年のサルディニア・ラリーでクラッシュして鎖骨を骨折し、その後のイベントを欠場せざるをえなくなってから物事がうまく運ばない日々だった気がします。怪我が完治し待望のシートに復帰してからは、これまで以上に努力を重ね、失った時間を取り戻すためにできる限りのことをしました。4年前と比べて確実に大きく成長したと確信していますが、最終的に何かが足りなかったようです。少なくとも自分のドライビングを向上させ、トップドライバーになるために全力を尽くしました。ですから、このプロジェクトで成し遂げたすべての努力と成果に誇りはあっても後悔はまったくありません。私はトップドライバーになるには、あらゆる要素を手にしている必要があり、そのどれ一つも欠けてもいけないと思っています。ですから、才能、運、タイミング、その他のなにかしらの要素が自分には欠けていたのかもしれません」

「このプログラムがなければ得られなかった素晴らしい機会と貴重な経験を与えてくれたTGRとTGRWRT、常にアドバイスをくれ、才能と成長の可能性を信じてくれたコーチ陣、あらゆるイベントで最高のマシンを用意してくれたRedGreyのメカニック、自分自身の理念を理解していただきラリー活動をサポートしてくださったスポンサーの皆様、惜しみない応援とメッセージをくれたラリーファンの皆様、そしてとくにこのプログラムが始まって以来、ずっと私の隣のシートで共に闘ってくれたコドライバーのトピに本当に感謝しています。関わってくれた皆さんがいなければ、今の私は存在しません。本当にありがとうございました! これからの自分の将来がどうなるのか、方向性はまだわかりませんが、これから新しい旅を始められることにワクワクしていますし、きっと素晴らしいものになると信じています。そしてその道中でまたお会いできる日を楽しみにしております」