WRC2017/04/09

波乱続出コルシカ、ヌーヴィルが首位浮上

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 2017年世界ラリー選手権(WRC)第4戦ツール・ド・コルスは、快調なペースでラリーをリードしていたシトロエン・レーシングのクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)がエンジンブローでリタイアするなか、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が首位に立っている。

 ツール・ド・コルスの二日目はコルシカ島北部のバスティアをベースに、48.71kmのラ・ポルタ〜ヴァレ・ディ・ロスティノ、17.27kmのノヴェラをバスティア空港のサービスを挟んで2回ループする4SS/131.96kmの一日となる。

 青空が上空にひろがったオープニングSSでベストタイムを奪ったのはヌーヴィルだった。彼は初日、ハンドリングに苦戦して首位から25.8秒遅れの3位となったものの、夜のサービスで行ったライドハイトなどセッティングがうまくいったようだ。「マックスで攻めることができた」と満足そうな笑みをみせたヌーヴィルに対して、オジエは「バンピーなセクションでマシンが何度もフロアが路面に当たったために攻められなかった」と明らかに苛立った様子をみせる。ヌーヴィルはここでオジエとの差を一気に14.9秒も縮めて0.6秒差に迫ることになった。

 いっぽう首位のミークはヌーヴィルが17.8秒差まで迫ってきたとはいえ、焦る様子はなく、「かなりダーティだったから慎重に走ったんだ。ヌーヴィルの方がいいタイムだけど、僕は満足している」とコメントした。

 その言葉に偽りがなかったようにミークは次のSS6では2つめのセクターまではヌーヴィルを上回るペースをみせてリードを広げるかに見えた。だが、彼のラリーは突然の終わりを迎える。ゴールを目前にして無念のエンジンブロー。白煙を噴き上げながらも彼はヌーヴィルから15.5秒遅れのタイムでフィニッシュするもエンジンルームかは大量のオイルが漏れだしている。タイムコントロールからリスタートしようとしたもののエンジンは完全に死んでおり、彼とポール・ネーグルはマシンをコースから押してそこでリタイアとなってしまう。シトロエンはこの日、オープニングSSでステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 WRC)がクラッシュ、48分遅れでステージをフィニッシュしたあとにリタイアを決めており、母国戦で一瞬のうちに2台を失うことになってしまった。

 快心の走りでこのステージでも連続してベストタイムを奪ったヌーヴィルは、ペースがまったく上がらないオジエを8.2秒逆転、この時点で暫定トップに浮上してデイサービスがおかれるバスティア空港へと戻ってきた。

 バスティアのデイサービスのあと、再びラリーはラ・ポルタからヴァレ・ディ・ロスティノまで至る48.71kmのマラソンステージを迎えることになり、フィエスタのセットアップを見直したオジエが速さを取り戻してベストタイムを獲得、反撃を開始することになった。ヌーヴィルはスタート直後のヘアピンでスピンしたものの、どうにかオジェから6秒遅れの3番手タイムでフィニッシュ、首位をキープすることになったものの、その差はわずか2.2秒となった。

 この日残されたのは、17.27kmのノヴェラのステージのみ。なんとオジエが油圧を失う問題が発生、彼はパドルシフトが使用できず、さらに後輪駆動となったマシンで36.7秒をロス、どうにか2位をキープしたものの、この日3度目のベストタイムを奪ったヌーヴィルが38.9秒へとリードを広げることになった。

 トラブルによって大きく遅れたオジエの18.8秒後方の3位で二日目をフィニッシュしたのはヒュンダイのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)。彼はクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)と秒差のバトルを演じていたものの、SS6でインターコムのトラブルに見舞われたブリーンを完全に突き放すことに成功、ポディウムをほぼ確実なものとしたかに思われた。

 だが、彼の後方にはトヨタのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)がじわじわと迫ってきた。ラトバラは6位で二日目をスタートしたものの、相変わらずハンドリングに自信がもてずにペースが上がらなかったが、デイサービスで、朝のステージで好タイムを連発したチームメイトのユホ・ハンニネンの電子制御のセンターデフ・セッティングに変更したことで完全にペースをつかむことになった。ラトバラは午後の最初のステージでは2番手タイムを獲得、ブリーンを0.2秒上回って4位に浮上、ソルドの後方13.3秒差に近づいてこの日を終えることになった。

 十分なテストで本番に臨んだはずのヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)は、セッティングに自信がもてないままこの日も走りに決め手を欠いて6位にとどまっている。

 ラリー2でリスタートしたオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)は朝のループでミスファイアに悩まされることになった。彼はロードセクションで問題を解決すべく、スパークプラグ、ECUユニットを交換したものの解消せず、デイサービスでフューエルインジェクションを交換したものの、ふたたびペースが上げられずにこの日を終えることになった。

 また、前日に油圧の問題に見舞われたエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)はSS6でコースオフしてリタイアとなってしまった。

 ツール・ド・コルス最終日はバスティアから島を南下、53.78kmのアンテザンティ〜ポッジオ・ディ・ナッツアを走ったあと、タイヤフィッティングゾーンでのタイヤ交換のみでパワーステージの10.42kmのポルト・ヴェッキオ〜パロンバッヅィアを走る2SS/64.20kmの一日だ。ヌーヴィルが今季4人目のウィナーになるか、それともオジエのさらなる逆襲があるか注目が集まっている。