ERC2025/10/05

王座を狙うアームストロングがクロアチアをリード

(c)RedBull Content Pool

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 FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の最終戦クロアチア・ラリーの初日、ジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally2)が2戦連続勝利に向けて大きなリードを築いて逆転タイトルに向けて力強い一歩を刻むことになった。しかし、一方でアンドレア・マベリーニ(シュコダ・ファビアRS Rally2)は午後のループでクラッシュしてしまい、タイトル獲得の夢は崩れ去ってしまった。

 先月、英国ウェールズで行われたラリー・ケレディギオンでERC初優勝を果たしたアームストロングは、クロアチア・ラリーでも素晴らしいスタートを切り、タイトル争いが一気に白熱することになった。アームストロングはオープニングステージでベストタイムを奪うや、狭滑りやすい朝のループの3ステージすべてを制し、2位のロベルト・ヴィルベス(シュコダ・ファビアRS Rally2)に22.5秒もの大差をつけ、ラリーをリードすることになった。

 朝のループを終えて、トップから30秒の3位にはラリーキャリア300戦目を迎えたマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)、わずか数秒後ろには、スウェーデンのミッレ・ヨハンソン(シュコダ・ファビアRS Rally2)、そして逆転タイトルに燃えるマベリーニが続くオーダーとなっている。
 
 しかし、選手権リーダーのミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)はシケインのオーバーシュートもあって7位にとどまっており、この状況のままでは、マベリーニが逆転タイトルを獲得する計算だ。

 だが、マベリーニは、午後のループのオープニングステージの11.6km地点で痛恨のミスによってコースオフ、マシンを止めることになった。この瞬間にマベリーニのタイトルの可能性は完全に吹き飛ぶことになってしまった。

 マベリーニのリタイアによって、トップを走るアームストロングが逆転タイトルへの期待も高まることになったが、彼はここで左フロントタイヤにダメージを負って10秒あまりも失ってしまい、ヴィルヴェスが12.7秒差へと近づくことになった。

 それでもアームストロングはそのあと2ステージを連続して制し、ヴィルベスに27.3秒差をつけて土曜日をトップで終えている。もしアームストロングがクロアチアで勝利を収めれば、6位にとどまっているマルツィックを抑えてERCタイトルを獲得できる可能性がある。

「午後はもっと速く走れたかもしれないが、パンクしてしまった」とアームストロングは語った。「選手権についてはあまり考えていない。まだ先は長いさ。明日は雨が降るかもしれないし、そうなれば状況は変わるだろう」

 
 もし、このままアームストロングがラリーに勝利し、さらにパワーステージを制した場合、選手権ポイントは146ポイントに上昇する。マルツィックはここまですでに146ポイントを獲得しており、シーズン最低の成績であるハンガリー・ラリーでの7位のドロップポイントを考えると、このままクロアチアを6位でフィニッシュし、パワーステージでもポイントを獲得すればタイトル獲得に十分なポイントとなる。しかし、トラブルなどでさらにポジションを落とすことになればタイトルを失うことになる。

「今日は良い一日ではなかったよ。午前中は平均的な走りだったが、午後はうまくいかなかった。まだ勝負はついていない。ステージはミスをしやすく、慎重にならなければならない」とマルツィックは語り、明日はしっかりポジションを守っていくつもりだ。

 トップと47.6秒差の3位にはハンガリー以来の表彰台への期待がかかるオストベルグ、2.8秒差の4位はスウェーデン期待のヨハンソンが続いている。

 ポーランド・チャンピオンに輝いたヤクブ・マトゥルカ(シュコダ・ファビアRS Rally2)は予選でも3番手タイムを奪って好成績が期待されたが、オープニングステージでコースオフ、フロントを大きく壊してしまい、ステージフィニッシュ後にリタイアとなった。
 
 ERC最終戦のクロアチア・ラウンドは明日の日曜日に4つのスペシャルステージを残しており、ザグレブのポディウムでは新チャンピオン誕生を祝うことになる。