WRC2016/10/15

豪雨のスペイン、地元ソルドが初日をリード

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 世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・デ・エスパーニャは、ヒュンダイ・モータースポーツのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)が豪雨に見舞われたDAY1のグラベルステージでトップに立ち、母国ラウンド初優勝にむけて素晴らしいスタートを切っている。

 グラベルとターマックのミックスイベントとして行われるラリー・デ・エスパーニャは、木曜夜にバルセロナの市街地コースで行われたオープニングSSで開幕、金曜日はタラゴーナのグラベルステージへと舞台を移して本格的な戦いをスタートすることになった。

 水曜日から降り続いた雨は、金曜日の朝になっても止むどころか、オープニングSSが始まるころになってさらにあちこちで強く降ることになり、水びたしとなったステージで早くも波乱が発生することになった。

 8番手からのスタートでドライコンディションなら優勝候補の一人と予想されたクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)がイン側に深く刻まれた轍でハンドルをとられて横転、幸いにも大きなダメージもなく彼はラリーを続行することになったものの、40秒を失って10位からラリーをスタートすることになった。

 このステージでトップタイムを奪って首位に立ったのはヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)。チームメイトのヘイデン・パッドンが1.6秒差の2番手タイム、セバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が3番手タイムを出して2位に浮上することになった。

 ドライコンディションでの路面掃除から開放されたオジエは、ぬかるんだコンディションのなかで慎重なスタートを切ったものの、続くSS3では2番手タイムを奪い、0.1秒差ながらヌーヴィルを抜いて首位に浮上、さらにラリー最長となる38.95kmのテーラアルタではヌーヴィルを4.3秒突き放し、その差を4.4秒として朝のループを終えることになった。

 オジエのほかに朝の難しいコンディションのなかでリズムを掴むことができたのは、チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)だ。彼はシェイクダウンからマシンのフィーリングに違和感を感じ、木曜日のスーパーSSを15位という不本意な順位で終えたものの、SS2、3と2連続でベストタイムを奪い、朝のループを終えて首位まで5.7秒差、ヌーヴィルとはわずかに1.3秒差の3位に浮上することになった。

 また、このステージの終盤で左フロントをパンクしたように感じてペースを落としたアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)を抜いて、ソルドが4 位へと浮上してきた。

 初日はデイサービスがなく、ドライバーたちはアスコのタイヤフィッティングゾーンでタイヤ交換して午後のループへと向かう。すでに雨は止んだものの、路面には深い轍に水たまりができて難しい状態となっており、ドライバーたちはあまりの難しさに悲鳴を上げることになり、それまでラリーをリードしてきたトップ3ドライバーはそろってトラブルに見舞われることになる。

 一番手のオジエは轍にたまった水たまりをクリーンにするために16秒あまりをロス、2位につけていたヌーヴィルはスピン、バンパーを失いながらもどうにかフィニッシュしたものの5位に後退することになった。最悪だったのは,朝のループでペースを掴んで首位戦線に躍り出そうとしていたラトバラだ。彼は6km地点でサスペンションを壊してスローダウン、どうにかゴールを目指そうとするも9.73km地点で続行を断念することになった。

 ここでベストタイムを奪ったのは地元のソルド。彼は「とてもトリッキーだったし、信じられないくらい滑りやすかった」と言いながらも、オジエを抜いて首位に立つことになった。ソルドは次のステージでも連続してベストタイム、さらに38.95kmのテーラアルタの2回目の走行でもオジエを5.2秒上回り、17秒をリードして初日を終えることになった。

「信じられない、本当に僕にとって夢のような一日だ」と首位に立ったよろこびを表すソルド。1995年にカルロス・サインツが勝って以降、スペイン人ドライバーがここで勝ててないが、ソルドはこのペースをキープすることを誓っていた。「今日はチームのおかげだ。明日もこの速さ続ける必要があるが、どうなるかやってみるよ」

 後続のための轍の掃除をすることになったオジエだが、このトリッキーなコンディションで攻めすぎてすべてを失わないようにゴールすることだけに集中したと語っている。

 オジエから18.1秒遅れの3位にはミケルセン、ヌーヴィルがこの日の最終ステージでチームメイトのヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)を抜いて4位まで挽回してきた。

 パッドンは朝からアンチラグシステムに問題を抱え、デイサービスがないため、終日、コーナーの出口でスロットルレスポンスに苦しむことになったが、ヌーヴィルとは1.4秒差の5位に付けている。

 朝からトランスミッションの異音に悩まされたマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)が午後になってペースを上げて6位、最終ステージでトップタイムを奪ったミークが7位まで順位を上げ、SS5でのスピンでフロントを壊したクレイグ・ブリーン(シトロエンDS3 WRC)が8位で続いている。

 バルセロナのストリートステージでトップタイムを奪ったDMACKワールド・ラリーチームのオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)は雨のなかでペースが上がらずに9位と低迷、ヒュンダイi20 WRCでの今季4戦目のラリーを迎えたケヴィン・アッブリングはSS5で2番手タイムを奪う速さをみせたが、この日の最後のステージでエンジンのミスファイヤに苦しんでタイムをロス、エリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)に抜かれて11位に順位を落として初日を終えている。