TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀が、6月5日から8日にかけて、イタリアのサルディニア島で開催されたWRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニアにGRヤリスRally2で出場、ヨーロッパでの今シーズン2戦目となるグラベルラリーで、山本はRC2クラス11位と健闘、小暮はリタイアに終わるも、難関イベントで貴重な経験を積んでいる。
小暮と山本にとって今回のラリー・イタリア・サルディニアは、前戦ラリー・デ・ポルトガルに続く今シーズン2回目のグラベル(未舗装路)イベントとなった。彼らは昨年、初めてラリー・イタリア・サルディニアにGRヤリスRally2で出場し、この島特有の難易度の高いステージと、厳しい路面を経験している。
サルディニアのステージは全体的に道幅が狭く、ハイスピードなセクションとツイスティな中低速セクションの両方が含まれる。山岳地帯に展開する道のすぐ近くには樹木や大きな岩が迫り、小さなミスが大きなアクシデントに繋がることも多い。また、路面は目の細かな砂状のグラベルに覆われるが、その下には硬質な岩盤が隠れており、同じステージを1回目に走行する時と、2回目に走行する時では路面コンディションとタイヤのグリップレベルが大きく変化する。さらに、今年は晴天が続いたことで気温および路面温度がかなり上昇、タイヤマネージメントも非常に重要な要素になった。
今回、ふたりはサポート選手権であるWRC2にはノミネートせず、Rally2カーによるRC2クラスに出場。大勢の強豪選手が覇を競う激戦クラスで経験を積むことを目標に定め、ラリーをスタートした。競技は金曜日の朝からスタートし、島の北部で3つのステージを各2回走行。山本とコドライバーのジェームズ・フルトンは堅実なペースで走り始め、SS3ではダメージを受けたタイヤ交換作業のために大きくタイムを失ったが、その後徐々にペースアップ。一日の終わりにはクラス12番手のタイムを記録した。一方、小暮とコドライバーのトピ・ルフティネンはSS2で橋にクルマを当ててダメージを負い、残念ながらデイリタイアとなった。
土曜日もまた島の北部で3つのステージを各2回走行し、山本はSS10でクラス12番手タイムを記録するも、SS11では再びタイヤ交換を余儀なくされタイムロス。RC2クラス14位で一日を終えている。小暮も再出走を果たし、オープニングのSS7ではクルマにダメージを負って遅れをとったが、その後SS11ではクラス13番手タイムを記録、この日のステージを全て走破した。
最終日はサービスパークの北側と南側で2つのステージを各2回走行し、山本はSS13で11番手タイムを、SS15では今大会のベストとなる8番手タイムを記録、最終ステージを12番手タイムで走り切り、RC2クラス11位でフィニッシュした。小暮はSS14で14番手タイムを記録したが、SS15の左コーナーに深く入りすぎ、側溝でスタックしたことでリタイアに終わっている。
山本雄紀:「初めてこのラリーを完走できたことを本当に嬉く思います。とてもラフで、タフで、暑い週末でした。全てにおいて非常に厳しいラリーでしたが、自分としてはうまく対処できたと思います。2回のパンクでタイムを失ったことを除けば、全体的には本当にポジティブな週末だったと思います。良いペースと進歩を示しながら、多くのことを学びました。とくに、ステージの2回目の走行では、1回目の走行でペースノートが正しく機能していることを確認できたため、自信を持ってプッシュすることができました。ですので、この週末の結果には満足していますし、次のギリシャ向けて準備は整っていると感じています」
小暮ひかる:「金曜日に起きたことは残念でしたし、愚かなミスでした。コーナーの出口に幅の狭い橋があり、内側に停っていたクルマがあったため、おそらく集中力を失ってしまい、クルマの右リヤを橋に当ててしまいました。それ以上走り続けることができず多くの走行距離を失いましたが、土曜日はより良い一日になりました。日曜日は自分が望んでいたような終わりかたにはなりませんでしたが、ステージを重ねるごとに徐々にクルマとの一体感を覚えるようになっていきました。もちろん結果は良くありませんでしたが、自分のフィーリングには満足しているので、ギリシャに向けて準備を整えることに力を注ぎます」
WRCチャレンジプログラムのチーフインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは次のようにふりかえっている。
「サルディニアは常にタフなラリーだが、山本はとても堅実に週末を戦った。残念ながら2回パンクを喫し、そのうち1回はコーナリングラインがワイドに脹らんでしまったことが原因となる。それによって彼は良いリザルトを得るチャンスを失った。それでも、いくつかのステージタイムは励みになるものだった。これまででベストな戦いだったと思うし、ポルトガルからの進化は、我々が望んでいたものだった。一方、小暮にとってはより困難な週末になった。金曜日に早々にリタイアしたことによって、土曜日に自信を築くのに時間がかかり、日曜日もやや早めに終了することになった。その一方で、クルマとの一体感を深めたことは、次回のギリシャに向けてプラスに働くと思うので、楽しみだ」
2期生小暮と山本の次戦は、6月26日から29日にかけてギリシャで開催される、WRC第7戦アクロポリス・ラリー・ギリシャとなる。中央ギリシャのラミアを中心に開催されるこのラリーは、サルディニアと同様グラベル(未舗装路)路面が舞台です。しかし、ステージは全体的にサルディニア以上に荒れていることが多いため、クルマとタイヤにかかる負担は非常に大きく、スピードと安定性をいかにバランスさせるかが鍵となる。