WRC2025/07/01

2期生山本がWRC2ギリシャで20位完走

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかると山本雄紀が、アクロポリス・ラリー・ギリシャにGR ヤリスRally2で出場、荒れた路面のサバイバルラリーを山本はWRC2カテゴリー20位で完走、小暮はコースオフにより土曜日でリタイアとなった。
 
 WRCでもっとも厳しい路面コンディションをもつ一戦で知られるアクロポリス・ラリー・ギリシャは、開催時期がこれまでの9月から6月に移動したこともあり、気温が40度前後という厳しい暑さのなか、クルマ、タイヤ、選手にとって非常に過酷なラリーとなった。

 小暮と山本はギリシャ初挑戦となった今回、これまで体験したことがないほど荒れたグラベルステージに立ち向かうことなり、苦しみながらも多くの学びを得ることになった。
 
 ギリシャの首都、アテネの市街地ステージで幕を開けたラリーは、翌日の金曜日から山岳地帯のグラベルで本格的な戦いがスタート、小暮はパンクでタイムを失いながらも、SS4でWRC2の8番手のタイムを記録するなど、所々で速さを発揮した。一方、山本はSS3の途中まで良い走りをしていましたが、前走車によって掘り起こされた大きな石にぶつかり左リヤのサスペンションを破損。山本とコドライバーのジェームズ・フルトンは自力での修理を試みたが、時間切れによりデイリタイアとなってしまった。

 競技3日目となる土曜日は、最初のステージのSS8で小暮がコースオフ。幸いにも小暮とコドライバーのトピ・ルフティネンに怪我はなかったが、クルマは競技続行不可能なほど大きなダメージを負い、小暮はラリーからのリタイアを余儀なくされてしまった。

 一方、修理されたクルマで土曜日に再出走した山本は、大きな石が散乱する荒れたステージを堅実に走行。SS12では9番手タイムを記録するなど、経験豊富なライバルたちを相手に高い競争力を発揮し、土曜日のステージを全て走り切り、最終日の日曜日も、スピードと安定性のバランスをうまくとりながら走行、WRC2選手権20位で完走を果たした。

 
小暮ひかる:「ポルトガルとサルディニアの前2戦と比べると、このイベントははるかに過酷で、各ラリーの難しい部分が一つに凝縮されていました。アクロポリスに向けてオンボード映像を分析したところ、改善できる点を発見し、それを今回試しました。金曜日の最初のステージではタイヤ交換を余儀なくされ、その後はタイヤの本数が限られているため慎重に走行しました。金曜日の最後のステージでも同様の問題が発生しましたが、幸いにもフィニッシュまで5kmという地点でした。パフォーマンスは前の数戦よりも良かったのですが、残念ながら土曜日最初のステージでコースアウトしました。外側に何もない難しいコーナーで、その前の左コーナーに少し高い速度で入り過ぎたため、続くタイトな右コーナーに速すぎるスピードで進入してしまいました。次のラリーではより良い結果を出せることを願っています」

山本雄紀:「このラリーをフィニッシュすることができて本当に嬉しかったです。これまで出場してきた中で、おそらく最も過酷で厳しいラリーだったと思います。ラリー中は多くのことが起こりました。SS3は最初の区間で最速でしたが、道に大きな岩があり、道幅がとても狭かったため避けられず、サスペンションにダメージを負いクルマを止めなくてはなりませんでした。土曜日は道が本当に荒れていて、何度もタイヤに問題が生じ、サスペンションアームも損傷したので、ステージとステージの間に交換しなくてはなりませんでした。それでも、良いフィーリングが掴めた時はペースも良かったですし、いくつかの区間ではトップ3、4位のドライバーと競うこともできました。ここまでの3戦は、それぞれ前のラリーよりも過酷でしたが、ラリーを重ねるごとにペースも改善されていったので、進歩には誇りを持つことができます。今後の課題は、速いステージタイムを出すことと、トラブル回避のバランスを見つけることですが、この後出場するハイスピードなグラベルイベントに関しては自信を持っています」

 チャレンジプログラムのチーフインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは次のようにふりかえっている。

「今回は、間違いなく非常にラフなコンディションの過酷なラリーだった。金曜日、小暮は大きなミスや問題もなく安定した走りを披露し、パフォーマンスも前のラリーから改善が見られた。しかし土曜日の朝、彼は大きなミスを犯し、その結果クルマが修理不能となり再スタートできなくなった。前戦サルディニアでも走行距離が限られてしまっていただけに、非常に残念な結果となった。山本は金曜日の朝ミスを犯し、その日の走行機会の大半を逃したが、土曜日に見事にカムバックした。彼がGRヤリスRally2で戦ってきた中で、スピードに関してはベストな一日だったと思う。これまでで最も上位に近づいたと思うし、日曜日も安定していた。昨年、このようなテクニカルなラリーで我々は苦戦したが、今回山本が良いステップを踏み、成長したことを嬉しく思う。そして我々はこのあとエストニアとフィンランドへと進むが、これらのラリーの路面キャラクターには少し馴染があるので、より強力なパフォーマンスを発揮してくれることを期待している」

 2期生小暮と山本の次戦は、7月17日から20日にかけて開催される、WRC第8戦ラリー・エストニアとなる。このラリーには、3期生の後藤正太郎と松下拓未もRally3車両で出場する。