WRC2020/01/24

2020年が開幕、モンテ初日はヌーヴィルがリード

(c)Hyundai

(c)Toyota

(c)M-Sport

 2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)開幕戦ラリー・モンテカルロが開幕、23日木曜日に行われた初日のナイトステージを終えてヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)がリード、19.1秒差の2位でトヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が続く展開となっている。

 ラリー・モンテカルロは木曜日の夜、モナコのヨットハーバーに面したアルベール1世通りで行われたセレモニアルスタートのあと、マリジャイ〜ピュイミシェル(17.47km)とベイヨン〜ブレジエ(25.49km)という2つのナイトステージが行われた。

 いつもはモナコでの選んだタイヤのままナイトステージを走ることになったが、2020年はステージ直前のディーニュ・レ・バンにタイヤ・フィッティングゾーンが設けられることになった。

 オープニングSSのマリジャイ〜ピュイミシェルは雨や雪は降ってなくほぼドライのコンディション。ここではトヨタでの初戦を迎えたオジエがベストタイム、7年連続のモンテカルロ制覇にむけて好スタートを切る。2番手にはトヨタから新天地ヒュンダイへと移籍したオイット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)が1.8秒差、3番手にはエルフィン・エヴァンス(トヨタ・ヤリスWRC)が1.9秒遅れで続き、ヌーヴィルは6.4秒落ちと出遅れた恰好だ。

「この週末の中でも最も簡単なステージの1つだったように思う。本当にドライだったからね」とステージエンドでオジエは語った。「ステージの終盤の方ではタイヤが振れることが多かったものの僕たちにとっては良かったみたいだ。次の方が難しいコンディションになるはずだ」

 続くSS2ベイヨン〜ブレジエは1184mのコル・デ・サーニュまでかけ上るセクションにはアイスパッチが点在、ブレジエ村のフィニッシュが近づくにつれて路面のそこらじゅうがブラックアイスに覆われた難しいコンディションだ。

 ここでベストタイムを奪ったのはヌーヴィルだ。オジエと同じくスタッド付きウインタータイヤを選ばず、オール・スーパーソフトで走行したヌーヴィルは、2番手タイムのオジエを25.5秒も引き離す鮮やかなベストタイムを奪って首位に浮上、19.1秒差をつけるオーバーナイトリーダーとして初日を終えることになった。

「前ステージではノートにないカットがあって迷ったところがあった。ここは非常にトリッキーなコンディションになったが、できるかぎりコースを読んでいくことを試みて極力リスクを控えるようにした。かなりいいタイムが出せたと思うよ」とヌーヴィルは自信に満ちた笑みをみせた。

 終盤にクルマが小さなジャンプで跳ねて一瞬ヒヤッとさせられたシーンも見られたオジエは、まだ新しいマシンでこの難しいセクションでは無理をしないことを選んだのだろう。「リスクを冒さないようにした。もっと速く走ることができたかもしれないが、まだまだ始まったばかりだからね」と、ヌーヴィルからは19.1秒差の2位で初日を終えることになった。

 25.1秒差の3位で初日を終えたのはタナク。SS2では下りのヘアピンでハーフスピン、あわやオフするところだったが、難を逃れている。「生きていて良かった!予想していたよりもかなり厳しかったよ」と彼はステージエンドで語っている。

 オープニングSSを3番手タイムで終えたエヴァンスは、SS2にむけてスタッド付きウィンタータイヤとスーパーソフトをクロスにして装着したが、この選択は失敗だったようだ。スーパーソフトだけのドライバーは凍結した狭いセクションでは止まりそうなスピードまでペースを落とさなければならないほどだったが、エヴァンスは総合的にみればスタッドに邪魔されてグリップ不足に悩まされることになった。それでも、彼はタナクからは0.3秒遅れの総合4位と好位置で初日を終え、セバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)がエヴァンスからは26.6秒遅れの5位で続いている。

 Mスポーツ・フォード勢はオープニングSS から水温が上昇するトラブルに悩まされることになった。テーム・スニネンは17秒遅れ、エサペッカ・ラッピも21秒遅れ、そしてダッシュパネルでは水温が120度を超えている警告が表示されているガス・グリーンスミスは33秒もの遅れを喫し、ステージエンドではともに何もコメントして走り去ることになったが、3台のフィエスタWRCはともにフロントのラジエーターグリルが枯れ葉で塞がれている。

 チームは次のSS2までに対策ができないか検討を行ったものの、できることは限られている。ラッピはここでも52秒を失って初日は1分7秒遅れの6位に留まることになり、水温が上昇の影響でパワーダウンに見舞われたグリーンスミスは2分44秒差の13位となっており、いきなり出鼻を挫かれる初日となってしまった。それでもスニネンに比べれば二人はまだましだった。スニネンはトランスミッションからオイルが漏れ出してこのステージでマシンを止めることになった。

 WRカーデビュー戦のカッレ・ロヴァンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)は7位で発進、おなじくヤリスWRCでの初のモンテカルロに挑む勝田貴元は慎重な走りで初日は12位でフィニッシュ、「非常に難しいしトリッキーだ。なんとか生き延びたがかなり変化が激しかった!明日はもう少しだけプッシュしてみようと思う」と語っていた。

 金曜日のレグ2はキュルバン〜ヴァントロル(20.02km)、サン・クレマン〜フリシニエール(20.68 km)、アヴァンソン〜ノートル・ダム・デュ・ロー(20.59km)という3ステージをデイサービスを挟んで2回ループする1日となる。天気予報ではギャップ周辺の山岳地帯では雪になると伝えており、いよいよモンテカルロの試練が始まることになりそうだ。