WRC2020/04/08

2022年から年間使用エンジン数を削減へ

(c)Toyota

 2022年から世界ラリー選手権は新しいRally1マシンによって新時代の幕開けを迎えることになる。すでにRally1マシンには1.6リッターターボのGRE(グローバル・レース・エンジン)+ハイブリッド・システムが搭載されることになっているが、FIA はWRCのトップレベルにおける競争コストを削減するためにエンジン使用数を制限する模様だ。

 2022年以降の新しいテクニカルレギュレーションについては、より高価なGRE と安価なRally2(昨年までのR5)のエンジンのいずれかを搭載すべきかで議論が続いてきたが、一基あたりの単価でRally2のエンジンを採用した場合には年間での使用エンジン数が多くなるためかえってコスト高を招くとの試算のもと、最終的にはより高価なエンジンであるGREを選択、年間での使用数を現在よりも減らす形でコストダウンを目指すことになった。

 現在、3台体制のチームは年間で1台のマシンにつき3基のエンジンが許可され、チームは9基のエンジンを使用することができることになっているほか、パワーステージの前にエンジンに破損が破損した場合には各ドライバーはシーズンに1回のみ1基の追加エンジンを新たにシーリングして使用できることになっている。しかし、DirtFishによれば、2022年以降は1台のマシンについて2基のエンジンに減らされ、3台体制のチームは年間6基、2台体制のチームは年間4基のエンジンに減らされる案が検討されているという。

 WRCの関係者は、エンジン供給の削減はチームにとって容易ではないと語った。

「これらは現在のところ目標というだけだが、チームはそれが難しいと感じるだろう。我々は新しいエンジンで信頼性がどのように発揮されるかを理解し、その後、しっかりとした計画を立てる必要がある」

「エンジンに求められている目標は、3台体制で年間6基、各マシンはわずかに2基だ。このことは、すべてが完全に100%でなくてはならないという深刻なプレッシャーをチームにもたらすだろう」

 現在のエンジンで何ができるかと尋ねたところ、チームメンバーの1人は次のように語った。「エンジンは約3000km走っている。おそらく、今あるものでそれを行うことができるが、イベントに関してもっと多くの戦略を立てる必要がでてくるだろう」

「チームはパワーステージ用にエンジンレベルを上げ、日曜日に競える結果がない場合、それを下げる。もうそんなことはできない」

「これが特に関わってくるのは、エンジンにクラッシュなどによる損傷があった場合だ。それは挑戦だが、挑戦であるべきだ。これはレギュレーション変更のより賢明な側面の1つだ」

 エンジン製作のみの観点からすると、この変更によって3台体制のチームは50万ユーロ近く節約できるという試算がある模様だ。