WRC2017/11/01

DMACKついにWRC初優勝、ミシュラン独走ストップ

(c)DMACK

 DMACKタイヤは先週末のラリーGBにおいて世界ラリー選手権で初勝利を飾り、ミシュランの連勝は92回でストップすることになった。英国のタイヤメーカーがWRCで勝利するのは1979年の英ダンロップ以来、38年ぶりのことになる。

 デビュー以来これまでの7年間で88のイベントに参戦してきたDMACKは、ついに世界ラリー選手権のトップカテゴリー初勝利をホームラウンドであるウェールズ・ラリーGBで達成した。エルフィン・エヴァンスとコドライバーのダニエル・バリットは、厳しいイベントを最初から最後までリードし、37.3秒の大差を開いて勝利した。エヴァンスは、WRCの英国ラウンドに勝利した初めてのウェールズ出身ドライバーとなった。

 エヴァンスのパフォーマンスを支えたのは、2017年シーズンの最後の3ラウンドのためにジョーカーを使用して投入したDMACKの新しいDMG+22グラベルタイヤだ。ウェールズの気温の低いコンディションでの賭けを成功させるため、DMACKはよりオープンなトレッドパターンのタイヤを開発し、より進化したソフトコンパウンドタイヤのGS84が週末を通してエヴァンスの武器となった。

 2016年のラリーGBでもDMACKを使用したオット・タナクが12のステージ勝利を挙げ、2位でフィニッシュする見事なパフォーマンスを見せたが、先週末のエヴァンスはさらに圧倒的だった。

 DMACKのグラベルタイヤは要求の厳しいミッドウェールズの森林の様々な道路コンディションで圧倒的な対応力を見せた。泥だらけなセクションやスリッパリーなグラベルの中で、エヴァンスは金曜日の朝からラリーをリード、一度も首位を譲ることなく勝利を挙げている。

 DMACKのマネージングディレクターを務めるディック・コーマックは悲願だった初勝利の喜びを語った。

「我々はこの結果に向けて7年間努力してきた。ホームの地で初勝利を獲得できて非常に感慨深い。DMACKは小さくても大変献身的なチームであり、この成果を達成するために膨大な努力を払ってきた。エルフィンとダンは今週末、素晴らしいドライブを届けてくれた。Mスポーツのチャンピオンシップ獲得に貢献できたことも名誉だ」

 DMACKは元ピレリUKのマネージャーだったコーマックによって2008年に英国カンブリア州カーライルで創設された。そのブランド名はコーマックの名前からとったものだ。

 DMACKは当初、プロダクションカー・カテゴリーにむけたラリータイヤの供給を行っていたが、2011年からミシュランと並んで世界ラリー選手権のトップカテゴリーへのタイヤサプライヤーとして認可されている。

 DMACKタイヤは創業当初は、中国のケミカルメーカー山東永泰化工集団有限公司が製造を行ってきたが、2016年からのWRCのトップカテゴリー参戦にあたりWRCとWRC2のタイヤはクーパー・タイヤ&ラバー・カンパニー・ヨーロッパのエイボン・モータースポーツ部門との技術協力のもとで英国において生産されてきた。

 しかしDMACKは現在、カーライル近郊に新たにタイヤ工場を建設するため、子会社のDMACKホールディングスLtdと同社の単独株主である中国の投資会社雷曼Lee & Xu法律事務所、英国政府、地元当局と協力しており、生産が本格化すると、最大500人の雇用をもたらすと推測されている。その目標は、主にモータースポーツ市場向けに年間200万本のタイヤを製造することだとDMACKは発表している。

 DMACKホールディングスLtdは、親会社であるDMACKに代わって中国におけるタイヤ製造と供給に事業を支援する目的で創設され、中国にタイヤ製造工場を所有している。