ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第4戦キプロス・ラリーは初日、選手権リーダーのブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)、ERC王者のカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)、カストロール・フォード・チーム・トルコのムラート・ボスタンチ(フォード・フィエスタR5)がSS6のまったく同じコーナーで崖下に転落するなど、サバイバルの様相を呈しており、昨年の勝者であるナッサー・アル-アッティーヤ(フォード・フィエスタR5)が貫禄の走りでラリーをリードしている。
猛烈なダストと荒れた路面を舞台としたキプロス・ラリーは、SS2で4番手からスタートした地元キプロス出身のドライバーが横転してコースを塞いだためにステージがキャンセルとなるなど波乱含みの朝を迎えることになった。
予選で一番時計を叩き出したラトビアのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)はオープニングSSでトップタイムを奪って、予定どおりにラリーリードをしたかにみえたが、SS3で初めて挑んだステージのあまりの難しさに苦戦して後退することになる。
朝のループを終えて、トップはアル-アッティーヤ、カイエタノビッチが16.7秒差の2番手、グリアジンは19.1秒差の3番手につけることになった。また、選手権リーダーのマガラエスも初めて走るキプロスに困惑しており、ペースが掴めず、早くも1分17秒あまりも後方の5位と出遅れることになった。
ERCのレギュラーメンバーたちも順調なスタートを切ったかにみえたが、午後のループでは次から次へと不運が襲い掛かる。7位につけていたチェコのアントニン・トゥルスタック(シュコダ・ファビアR5)がステアリングを壊してストップ、そして期待のグリアジンも石を巻き込んでフロントを壊して3位から44位に後退してステージエンドに辿りつく。彼はどうにかSS6をスタートしたものの、ラジエータを破損しておりマシンをストップ、前戦アクロポリスでも首位からリタイアとなった彼は2戦続けて速さを見せながらもゴールに辿りつくことは叶わなかった。
だが、SS6のドラマはこれだけで終わりではなかった。2位につけていたカイエタノビッチが大量のダストで滑りやすくなったコーナーでコースオフ、さらに同じ地点でカストロール・フォード・トルコのボスタンチ、さらに選手権リーダーのマガラエスが次々と転落、まるでマシンの墓場のように3台の大破したラリーカーが崖下に並ぶことになった。
このステージを走り終えたアル-アッティーヤは、ライバルたちがほとんどいなくなったことに呆然、彼は早くも後続に対して2分44.8秒という大差をつけることになった。
「みんながプッシュしていたことは確かだが、奇妙なことが起きた。ステージは本当に難しく、どこでも簡単にクルマが壊れてもおかしくないステージだった。ライバルたちがいなくなって残念だよ」とアル-アッティーヤは語っている。
アル-アッティーヤはこのあとペースを落としてセーフティに走ることに集中、SS7で左リヤタイヤをパンクした以外に大きな問題もなく、首位を守り切ることになった。
3分19秒遅れの2位にはアレクサンドロス・ソウロフタス(シトロエンDS3 R5)、さらに20秒遅れの3位にパニコフ・ポリカウポウ(三菱ランサーエボリューションIX)というキプロス勢が続くことになった。