ERC2016/09/18

ERCラトビア、シルマチスが母国戦で圧巻の速さ

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第9戦ラリー・リエパーヤが17日にラトビアで開幕、地元期待の新星ラルフス・シルマチス(シュコダ・ファビアR5)がロングステージをすべて制して初日をリードしている。

 ラリー・リエパーヤは当初、2月にスノーイベントとして行われる計画だったが、雪不足のために日程変更され、第9戦としてグラベル・ラリーとして行われる。

 オープニングSSを制してラリーをリードしたのはERCで今季2勝を飾って母国で開催される凱旋イベントに挑むシルマチス。そのマシンカラーはお馴染みとなったシュコダ・バルチックのグリーンではなく、今回はラトビア・カラーのストライプにランピングされている。そして、これに予選でトップタイムを奪ったロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(三菱ランサーエボリューションX)が2.5秒差で続く展開でラリーはスタートすることになった。

 続くSS2ではなんと0.1秒差でシルマチスがルクヤヌクを抑えるなど、早くも二人のバトルはヒート、シルマチスはSS3の高速ステージでは5速ギヤが低すぎてリミッターに当たる問題を抱えたものの、ルクヤヌクもブレーキをミスしてジャンクションをオーバーシュート、朝のループの3ステージを制したシルマチスが17.3秒をリードしてサービスへと戻ってきた。

 午後のループでもシルマチスの速さは変わらず、連続して2つのステージでもベストタイムを奪取、この日を締めくくる1.67kmの2つのショートステージこそルクヤヌクに一番手タイムを譲ることになったもの、初日に行われた5つのロングステージすべてでトップタイムを奪い、ルクヤヌクに対して30.7秒をリードして初日を終えることになった。

 いっぽう、選手権に王手を掛けてラトビアに臨んだカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)にとっては不安なスタートとなってしまった。オープニングSSで4.4秒差の4番手タイムと遅れた彼は、SS3でインカットした際にフロントグリルに草が張り付いてしまい、水温が上昇する問題を抱えてしまう。彼はパワーの上がらないマシンでここでは6番手タイムと失速、さらにSS4でもパワーステアリングが効かなくなったためにマシンを止めてリセット、どうにか4位をキープすることができたものの、この時点で43.4秒もの遅れを喫することになる。

 とはいうものの、カイエタノビッチとしては無理してこの遅れを取りかえす必要はまったくないため、ここでは確実な走りでリズムをキープ、SS6でエストニアのシーム・プランギ(三菱ランサーエボリューションX)を捕らえて、45.9秒差の3位で初日を終えることになった。もちろんこの順位をキープして明日の最終日にフィニッシュすれば、彼の2年連続ERC王座が決まることになる。

 カイエタノビッチから3.2秒差の4位にはプランギ、地元ラトビアのヤニ・ヴォロビョフ(三菱ランサーエボリューションX)が5位、ポーランドのウーカシュ・ハバイ(フォード・フィエスタR5)が6位で続いている。

 8位につけていたエストニアのラウル・イェーツ(フォード・フィエスタR5)はSS5のスローコーナーで横転、コースに戻れるかのようにも見えたがエンジンルームから出火したためリタイアとなっている。

 ERC2選手権を大差でリードするスバル・ポーランドのボイチェフ・フフォワ(スバル・インプレッサWRX STI)はゴール目前でTCに1分遅着するミスを犯したものの、手堅い走りで総合10位、ERC2の4位につけており、王座決定が目前となっている。

 ERC3とERCジュニアは、選手権を争うADACオペル・ラリー・ジュニア・チームのクリス・イングラムとマリヤン・グリーベルのチームメイト同士のバトルとなっており、グリーベルがイングラムを0.7秒差でリードして初日を終えているものの、その差はないものも同然だ。

 ラリー・リエパーヤの最終日に残されているのは6SS/100.82km、いずれも高速でタフなステージがドライバーたちを待ち受ける。