ERC2017/09/18

ERCローマ、ブフィエが0.3秒差で逆転勝利

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第7戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは最終ステージまで優勝争いがもつれることになり、ブライアン・ブフィエ(フォード・フィエスタR5)が、選手権リーダーのカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)の追撃を下して0.3秒差で逃げ切り、激しいデッドヒートを制することになった。ブフィエは今季2勝目を飾った初めてのドライバーとなった。

 ラリー・ディ・ローマ・カピターレは土曜日のナイトステージで首位を快走してきたアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がヘッドライトの問題からクラッシュしたことにより、ブフィエが新しいリーダーとなり、7秒差でカイエタノビッチが続いて最終日を迎えることとなった。

 しかし、ブフィエはこの日の朝、前夜の雨によってウェットになることを想定してソフトタイヤをチョイスするも、路面は一部のコーナーで泥が出てしめっているほかほぼドライとなり、ギャンブルは裏目に出てしまう。オープニングステージで9.1秒差をつけたカイエタノビッチが早くも逆転で首位に浮上するや、スライドするマシンに苦しむブフィエを尻目に朝のループで3連続ベストタイムを奪って3.3秒差をつけてサービスへと帰ってきた。

 だが、ラリーはこれで終わったわけではない。午後のループの最初のステージでベストタイムを奪ったブフィエが0.4秒差ながら首位を奪回、カイエタノビッチも続くSS11でまたも逆転して0.5秒差で首位を取り返す。

 残されたのは11.75kmのアルティピアニ〜グアルチーノのみ。ここでトップタイムを奪ったブフィエが0.3秒というERC史上稀にみる僅差で逆転勝利を飾ることになった。

「このような難しいコンディションで地獄のように攻めて戦い、そして勝利できるなんて本当に驚くべきことだ」とブフィエは喜びを語った。

 彼は2013年にオーストリアで開催されたERC開幕戦イェンナー・ラリーでラリーをリードしていながら最終日にシュコダ・ワークスのヤン・コペツキに0.5秒差で逆転で敗北を喫しており、このときの苦い記憶を払拭するにふさわしい勝利となった。

「すべてのスポーツがそうだが、勝利をめざして戦うことはとても素晴らしいものであり、アドレナリンを与えてくれる。最後まで信じられないくらいプッシュしたよ。素晴らしい戦いを堪能したよ」

 ERCの3年連続王座がかかっているにもかかわらず、最後まで勝利を狙って攻め続けたカイエタノビッチは、2位でフィニッシュしたことに満足している。「マシンはほぼパーフェクトだった。初めてのラリーだったが、最後はとてもいいドライブができて僅差の勝負となった。素晴らしい戦いを制したブライアンにおめでとうと言いたいね」

 選手権の2位につけるブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)もSS2のスピンとタイヤトラブルのあと健闘して3位でフィニッシュを迎えたものの、カイエタノビッチとの差は24ポイントとなってしまった。残りは来月開催される最終戦のラリー・リエパーヤだけとなるが、彼はまだ最大で39ポイントを獲得するチャンスが残されている。

 ポーランド・チャンピオンのグジェゴシュ・グジェブ(シュコダ・ファビアR5)は250戦目のラリーでポップオフバルブの問題に悩まされながらも4位でフィニッシュ。5位にはシモーネ・テンペスティーニ(シトロエンDS3 R5)が続き、6位となったチェコのヤン・チェルニー(シュコダ・ファビアR5)がERCジュニアU28初優勝を飾ることになった。

 ERCジュニアU27はチェコのフィリップ・マレシュ(プジョー208 R2)が最終日にヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)を逆転して初優勝を飾ることになった。

 ERCレディス・トロフィーは、2日間のラリーをリードしてきたエマ・ファルコン(シトロエンDS3 R3T)が最終ステージエンジントラブルのためにリタイアとなり、タマラ・モリナロ(オペル・アダムR2)が逆転勝利でタイトルを獲得することになった。

 また日本から出場した眞貝知志(フィアット・アバルト500 R3T)がファルコンのリタイアによってRC3クラス優勝を飾っている。

 併催されるイタリア選手権では、オレンジレーシングのシモーネ・カンペデッリ(フォード・フィエスタR5)がリード、ウンベルト・スカンドラ(シュコダ・ファビアR5)に4.6秒差をつけて3月に開催されたラリー・イル・チョッコに続く2勝目を飾っている。

 レグ1で優勝したカンペデッリはレグ2でも速さをキープ、4回のベストタイムを奪ってスカンドラを突き放して優勝を飾り、選手権リーダーのパオロ・アンドレウッチ(プジョー208T16 R5)がギヤボックストラブルで最終日の追撃できずに3位に終わったため、13.5ポイントのリードとなっている。

 また、惜しくもイタリア選手権での初表彰台はならなかったものの、カッレ・ロヴァンペラ(プジョー208T16 R5)は自己ベストの4位でフィニッシュしている。