ERC2017/04/01

ERC王者まさかの横転、ルクヤヌクが首位浮上

(c)ERC

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 2017年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦ラリー・アソーレスは、初日首位に立っていたポーランドのカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)がクラッシュでリタイアする波乱のなか、ロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)が首位に立っている。

 ポルトガル領アソーレス諸島のサン・ミゲル島を舞台に行われるラリー・アソーレス。二日目はオープニングSSでカイエタノビッチがクラッシュするドラマとともに始まることになった。わずか7.02kmのSS5ピコ・ダ・ペードラ・ゴルフェのステージは先週まで降った長雨と朝の霧雨の影響でルースなグラベルが浮いた難しいコンディションとなるなか、首位のカイエタノビッチもクレストを越えた先の左コーナーでワイドに膨らみ壁に激突、フロントを大破してマシンを止めることになってしまった。幸いクルーにケガはなく、マシンも修理な可能なレベルのダメージのため、カイエタノビッチはラリー2で土曜日にリスタートする予定となっている。

「僕らの仕事は言うまでもなく簡単なことではない。すべてが私たちの計画通りに進まなくても、僕はラリーを愛しているし、明日も美しい景色を見るためにステージに帰ってくるつもりだ」とカイエタノビッチは語っている。

 オープニングSSでベストタイムを奪ったのは、初日から速さを見せてきたルクヤヌク。彼はポップオフバルブに問題があったと語りながらも、朝の3ステージで3連続ベストタイムを奪って、滑りやすくトリッキーなコンディションにしっくりこない地元のリカルド・モウラ(フォード・フィエスタR5)に対して早くも41.3秒をリードして昼のサービスへと帰ってきた。

 だが、このまま逃げ切れるほど甘くないのがアソーレスのステージだ。ルクヤヌクはSS8でワイドになってしまいタイヤを壁にヒット、リム落ちしたまま走りきり、ここで21秒をロスしてしまう。モウラに21.6秒差につめられてしまったルクヤヌクはスペアを失ったことで、トリッキーになった午後のループではペースを上げられず。最終ステージではリヤを壊す危ないシーンに見舞われながらも27.8秒をリードして首位で金曜日をフィニッシュしている。

「最後のステージでは危ないところだった。ジャンプしたあと崖にヒットしてリヤウィンドウを失ってしまった。本当に恐ろしい瞬間だった。タフなイベントだよ」とルクヤヌクは語った。

 いっぽう、タイムを縮めるチャンスのあったモウラもまたパンクによって追撃のチャンスを失い、この日最後のステージでは摩耗したタイヤで失速、2位の座をブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)に譲ることになってしまった。

 ERCジュニアU28は、SS5で首位に立ったマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)がパンクしたあと、ニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)が首位に浮上、彼もまた難しいコンディションのなかで何度かバンクにマシンをヒットさせてサスペンションに問題を抱えながらもどうにか首位をキープしている。

 2位につけていたプジョー・ラリーアカデミーのホセ・スアレス(プジョー208 T16 R5)は最終ステージでクラッシュ、トラブルのあとペースを取り戻したグリーベルがわずか2.8秒差の2位まで挽回している。

 SS3のミスによって順位を7位まで落としたラトビアのラルフス・シルマチス(シュコダ・ファビアR5)は、初日は追い上げてU28のトップ、総合4位で終えたものの、金曜日もふたたび波乱の一日となった。彼はこの日のSS5とSS6で連続してパンク、朝のループを終えて1分32秒遅れのU28の4位に後退、午後のループでは少しずつペースを上げたものの、最終ステージでこの日3度目のパンクに見舞われ、4分遅れの7位となっている。

 ERCジュニアU27は、オペル・ジュニア・チームのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)とチームメイトのヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)とベストタイムを分け合う激しい攻防となり、金曜日を終えてイングラムが4.7秒で首位を守っている。

 プジョーUKのケイティ・マニングス(プジョー208 R2)はSS5で横転、オペル・ジュニア・チームのタマラ・モリナロ(オペル・アダムR2)がERCレディースをリードしたものの、彼女もまたSS10で横転してリタイアとなっている。