ERC2020/12/01

ERC3ジュニア優勝のバッサスが失格に

(c)ERC

 ラリー・イスラス・カナリアスで、ラリー・チーム・スペインのジョセップ・バッサスはERC3とERC3ジュニアで今季2度目の優勝を飾ったかに見えたが、ロードセクションで外部からのアシスタンスを受けたことが原因となりゴール後に失格となった。

 ERC3とERC3ジュニアのタイトル争いは、スパ・ラリーがキャンセルとなったことで、ラリー・イスラス・カナリアスの結果にかかわらずすでにエストニアのケン・トルンのものとなっていた。

 バッサスはオープニングSSからラリーをリード、難しいコンディションとなったこの週末の戦いを果敢な走りで攻め続け、ステージを2つ残してトルンに対して4分40秒あまりをリードすることになった。

 しかし、バッサスはSS16でエンジンがオーバーヒートを起こしたために42秒をロス、さらに最終ステージでも1分46秒あまりも遅れてしまったものの、2分18秒差を築いたままなんとか首位でステージをフィニッシュ、ラリー・ファフェ・モンテロンゴに続く2勝目を達成したかに見えた。このステージのフィニッシュラインでマシンを一旦オフにして冷却しようとしたことが良くなかった。

 バッサスとコドライバーのアレックス・コロナドは、どうにかエンジンの始動に成功、エスタディオ・デ・グランカナリアでのサービスに戻って、ポディウムセレモニーに登壇することになったが、ステージエンドで観客からもらった角氷の入った袋を使用してエンジンを冷却したことが原因で、その日の夜に失格処分となってしまった。

 リージョナル・ラリー競技規則第2.13条では、指定されたエリア以外でのサービスの制限を定めており、「製造された材料(固体または液体)の使用または受領」が禁止されている。

 バッサスとラリー・チーム・スペインにとってはほろ苦いエンディングとなってしまったが、これによって2位でフィニッシュしたトルンは優勝によってタイトルに花を添えることになった。

 振り返って見れば、トルンとラリー・チーム・スペインは昨年もゴール後まで結果をめぐってもめる当事者になっており、ステージエンドでERC3とERC3ジュニアのタイトルを祝福されたトルンがその数時間後にタイトルを失うという悲劇を味わっている。

 バルム・ラリー・ズリーンで行われた2019年ERC3ジュニア最終戦では、優勝したジャン-バティスト・フランセスキがフィニッシュ後にノーショナルタイムを訂正されたために4位に転落し、ラリー・チーム・スペインのエフレン・ヤレーナにERC3とERC3ジュニアの勝利とタイトルが転がり込んでいた。

 このとき問題となったステージではマルティン・ヴルチェクがクラッシュしてステージをふさいでしまったために赤旗が出され、ERC3とERC3ジュニアの全マシンにノーショナルタイムが与えられたが、フランセスキは前ステージで技術的な問題を抱えていたことがラリー後に判明したために、ヤレーナの逆転で勝利することになり、その影響によってトルンが2つのタイトルを失うという悲運となっていた。