WRC2020/06/27

FIA、最低でもあと4戦の開催を目指す

(c)Toyota

 世界ラリー選手権の今季の改訂版カレンダーは、新型コロナウイルスの余波による微妙な状況のなかでいまだはっきりとしていない状況にあるが、FIAラリーディレクターのイヴ・マトンは、世界ラリー選手権のタイトルの正当性を高めるためにも少なくともあと4戦の開催を目指しており、目標達成にむけてすべての関係者が努力を続けていると語った。

 今季の世界ラリー選手権はモンテカルロ、スウェーデン、メキシコの3戦のあとから中断しており、すでに5戦のイベントがキャンセルを表明している。FIAとWRCプロモーターは、カレンダー改訂に向けて懸命に取り組んでいるものの、いくつかの国では規制が解除されたことで楽観的な見方ができる一方で、流行の第二の波が来るのではないかという懸念が新たに生じた国では規制が強まり、カレンダーについても明確な方向性を示すことができない状況にある。

 先ごろ行われたワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は、ヨーロッパ選手権などのFIAリージョナル選手権が今季成立するためには当初のカレンダーの50%が開催される必要があることが確認されたが、今季の世界ラリー選手権が成立するためには何戦開催される必要があるかについては決定されていない。

 マトンは、FIAとしても最低でも7戦を開催することを目標として取り組みを続けるとともに、主催者やチームが必要とするあらゆる支援を行っていくと語った。

「2020年の残りのシーズンのWRCカレンダーはまだ最終決定の作業中だ。目標は、シーズン中に最低でも7つのイベントを開催し、タイトルの正当性を高めることにある」とマトンは語っている。

「多くの国で制限が緩和されるようになり、ラリーを再開できそうな望みも高まってきたため、FIAとしても世界ラリー選手権の再開に向けて、主催者やチームが必要とするあらゆる支援を行えるよう体制を整えているところだ」

 いまのところカレンダーには、トルコ、ドイツ、ジャパンが残されており、延期となったイタリアとアルゼンチンが日程の確定を待っている状況にあるが、トルコとドイツについては政府による新たな規制が開催を阻む可能性があるとも考えられている。マトンは2020年のカレンダーが流動的なのは、こうした事情があるためだと語っている。

「もちろんカレンダーを決めるためには日程の問題と並んで、感染を防ぐための管理をどうするかという問題もある。いくつかの政府によって課された新たな制限は、特定のイベントの実現可能性を疑問視されている」

「ラリーのDNAは、観客が参加しないでイベントを開催することを非常に複雑にしている。そのため我々は意思決定プロセスで政府の決定を尊重しなければならないが、国の健康への政策がどうなるのかまだ不透明なため、新しいカレンダーをスケジューリングする前に時間を取らざるを得ない状況にある」

 タイトルを成立させるためにヨーロッパの主要イベントをWRCに昇格させるというFIAのアイディアは、ラトビアのラリー・リエパーヤがWRC開催を断念したため、エストニアのラリー・エストニア、ベルギーのイープル・ラリー、スイスのラリー・インターナショナル・デュ・ヴァレーの3戦に絞られたと考えられている。

「7戦のカレンダーというのは最も現実的な見通しであり、我々はその実現に近づいている。もちろん、まだまだ疑問符はたくさんあるが、FIAとしても主催者側がチャンピオンシップに参加するためにできる限りの努力をしている」