WRC2021/11/27

FIAがグローバル・ラリー・ランキングをスタート

(c)FIA

 FIAは、2022年に「グローバル・ラリー・ランキング(GRR)」を開始することを発表した。ゴルフやテニスなどのスポーツではすでに世界ランキングのシステムが採用されているが、FIA によれば、ラリーにおいても国内選手権レベル以上で戦うすべてのドライバーとコドライバーを、イベントの結果に基づいて世界ランク付けすることによって、より競技性と競技への関心を高める効果が期待できるとしている。

 モータースポーツの世界的統括団体であるFIAは、このようなランキングを実現するためのインフラをすでに整えており、世界ラリー選手権以下のシリーズを国際、地域、国内レベルで評価に応じた順序で配置する「FIAラリー・ピラミッド」に取り組んでいる。

 ほとんどの選手権とシリーズには係数が与えられ、ドライバーまたはコドライバーズが各イベントで獲得したポイントに乗じられる。FIA世界ラリー選手権(WRC)は1.0倍、FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)は0.5倍、FIAリージョナル・ラリー選手権(FIAアジア-パシフィック選手権(APRC)アジア・カップ/パシフィック・カップ、中東選手権など)は0.4倍、FIA APRCファイナルは0.6倍、その他のシリーズは0.15から0.4倍、各国内のラリー選手権は0.1倍がそれぞれ振り当てられる。

 ドライバーまたはコドライバーズが各イベントで獲得できるポイントは、イベントの総合ポイントとクラスポイントから算出されたポイントを合算したものとなる。これらポイントについては、WRCのポイントシステムを使うのではなく、GRRの専用ポイントシステムとなり、1位から上位15位までの順位に応じて30、24、21、19、17、15、13、11、9、7、5、4、3、2、1ポイントが与えられる。総合ポイントはこのポイントに係数10が乗じられる。クラスポイントは各クラスの順位に応じたポイントにスターター数(最大で20まで)を乗じた後でクラス係数0.3倍したものとなる。

 マシンのクラスごとにも係数が設定され、Rally1は1.0倍(2013年以前にホモロゲーションを取得し、今年のWRCに参戦可能なWRカーを含む)、Rally2とR-GTは0.7倍、Rally3は0.5倍、Rally4は0.4倍、Rally5は0.3倍となる。

 また、リタイアしたクルーはスーパーラリーのレギュレーションでリスタートしてもGRRのポイント獲得の資格を持たない。

 今年の10月15日から国際ラリーの成績をGRRに記録することができるようになるが、2022年に入るまで国内レベルのラリーではポイントを獲得することができない。個人の場合、一度に記録できるのは、最高得点を獲得した12の成績のみとなる。また、GRRは毎週水曜日の中央ヨーロッパ時間午後6時(東部標準時間午後1時、太平洋標準時午前10時)に発表され、公開されたランキングに最初に掲載されてから365日間のみ結果が有効となる。

 ASNは2つのシリーズしか指定できないため、すべての国内選手権がGRRの対象となるわけではない。イタリアのように国内レベルのラリーシリーズが多数存在する国は、FIAラリーピラミッドに最も関連性のあるものを選択しなければならない。ただし、ASNはFIAに通知すれば、年間を通じて何度でも対象シリーズを変更することができる。

 その週のGRRのランキングでトップになったからといって、表彰されるわけではなく、あくまでステータスして認識されるものとなる。