WRC2022/06/30

FIA、ラリーピラミッドにEVカテゴリーを追加

(c)OPEL

 FIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)が29日にパリで行われ、新たに完全なEVラリーカーのRally5eのFIA技術規則とホモロゲーション規則が承認されることになったが、残念ながら2023年のWRCカレンダーに関する発表は見送られている。

 EVラリーカーについては、すでにオペルがコルサEによるワンメイクラリーシリーズを開催しており、ルノー・スポールとともにFIAラリー・ピラミッドに電気自動車ラリーカーを加えるべきだと働きかけをFIAに対して行ってきた。

 FIAラリー・ピラミッドは現在、世界ラリー選手権のトップカテゴリーであるハイブリッドのRally1カーを頂点に、WRC2を戦うRally2カー、新しい廉価版の4WDラリーカーであるRally3、2輪駆動ラリーカーのRally4、そしてもっとも市販車に近いベーシックなRally5カーまでの5階層にまたがっている。

 FIAが今回明らかにしたRally5eは、このピラミッドの最下層に位置しており、車両のバッテリー容量(60kWh以下またはそれ以上)により2つのクラスからなる技術規則とホモロゲーション規則を承認した。

 フルEVのラリーに興味を示しているのはオペルだけではない。ルノーグループCEOのルカ・デ・メオもかつてグループB時代のラリーで有名になったルノー5をEVカーとして復活させ、それに見合うラリーカー活動を検討する可能性があることを示唆している。また、MスポーツもEVによる新カテゴリーへの関心を示唆しており、Mスポーツ・ポーランドのボス、マチェイ・ヴォダは昨年、「将来的には完全電気自動車のRally5を作る余地がある」と発言している。

 また、WMSCでは、コックピットの温度が懸念されてきたRally1カーについて新たにリアウィンドウとルーフベントを開けてベンチレーションを改善する提案が、ホモロゲーション委員会の承認を条件として承認された。

 マニュファクチャラーにはこれまでデイリタイア車両を再スタートさせるための修理時間については「連続する3時間」と定めてきたが、Rally1カーについてはハイブリッドシステムの複雑化により、修理のリードタイムが以前より長くなってしまったため、1時間延長され、修理する時間を合計4時間へと増やしている。FIAはこの4時間の修理時間を2つに分け、チームの判断で分割して作業することを認めている。

 また、WMSCは、これまでWRCイベントでエントラントに配布されてきたロードブックについてこれまでのような印刷物ではなく、すべてのイベントに先立ってデジタル形式で提供されなければならないと定めている。