WRC2021/03/06

FIA、来季からWRCサポート選手権の構造を一新

(c)FIA

 金曜日にジュネーブで開催されたFIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は、世界ラリー選手権については新しいRally1カーを頂点としたラリーピラミッドをより明確に構造化するために2022年からサポート選手権のカテゴリーを一新することを承認した。

 世界ラリー選手権のトップカテゴリーのすぐ下の階層に位置するWRC2は現在、マニュファクチャラーおよびマニュファクチャラーが支援する有力チームのエントラントのための選手権となっているが、一方ではプライベーターのためのWRC3が存在しており、Rally2カーのための選手権が分裂するなどわかりいくい構造となっていた。このため2022年からはRally2の全マシンが新たにWRC2にグループ化され、WRC3は新しい廉価版4WDラリーカーであるRally3のための選手権となる。

 新たにWRC2とWRC3の両カテゴリーにはドライバーズ選手権とともにチーム選手権が設けられる。また、WRC2とWRC3にはそれぞれエントリー基準に制限がないオープン選手権、ジュニア選手権が設けられる。ジュニア選手権はWRC2では30歳以下、WRC3では29歳以下に制限される。

 この2つのジュニア選手権タイトルを獲得したドライバーは、次年度以降、これらの選手権に出場することができなくなり、ステップアップするか、同じカテゴリーのオープン選手権に出場する必要がある。

 新しい2つのジュニア選手権がシリーズ化されたことで、これまでフォード・フィエスタRally4によるシングルメイクのジュニアWRCはなくなることになる。Rally4とRally5のホモロゲーションを取得した2輪駆動ラリーカーはWRCイベントへの参加が認められるが、1993年に2リッター世界選手権が誕生して以来、30年にわたって続いてきた2輪駆動マシンのための選手権タイトルがなくなることになる。

 また、ヨーロッパ・ラリー選手権はWRCのフィーダーシリーズとして、よりいっそう明確な道筋を作ることで選手権の位置づけを強化する。

 ERCのトップカテゴリーは引き続きRally2で争われ、ドライバーとチームのためのタイトルが賭けられることになる。

 これまで三菱ランサーエボリューションやスバルWRX STIなどのグループNマシンに加え、R-GTカーやRally2キットカー(昨年までのR4キットカー)によって争われてきたERC2は2021年末に廃止され、代わりにR-GTカーによる独立したカテゴリーとなる。

 ERC3は現在、2輪駆動マシンのRally4とRally5で争われるが、2022年からERC3は新しいRally3のための選手権となる。当初はRally3のための選手権がERC2という呼称を引き継ぐ計画だったが、マシンのグループとカテゴリーの数字を統一するためにERC3となり、Rally4とRally5のためには新たにERC4が新設され、2輪駆動マシンのための最高レベルのタイトルとなる。

 ERC3とERC4にはそれぞれドライバーとチームのための選手権タイトルが賭けられるほか、それぞれエントリー基準に制限がないオープン選手権が設けられる。ERCのジュニア選手権は従来の年齢制限を継続し、ERC3ジュニアは28歳、ERC4ジュニアは27歳に制限される。

 また、FIAはこのほかにも、ルーキーと年長ドライバーのための2つのアワードを新設した。WRCとERCの両選手権において、シーズン開始前の参戦回数が3戦以下のドライバーのためのルーキー・アワードと、FIA地域プライオリティリストに含まれていない40歳以上のドライバーを対象としたマスターズ・アワードを創設することを決めている。