WRC2020/01/10

GRヤリス、「WRCに勝つために」誕生

(c)Takeshi Sakuma

(c)Toyota

 トヨタは、10日に開幕した東京オートサロンにおいて世界ラリー選手権に勝つためにすべてのノウハウを注ぎ込んだ4WDスポーツカー「GRヤリス」を世界初公開した。GRヤリスは、世界ラリー選手権のホモロゲーションモデルとなり、2021年の世界ラリー選手権に次期WRカーとして投入する計画だ。

 GRヤリスは、TOYOTA GAZOO Racing WRTがWRCへの参戦を通じて蓄積してきた知見やノウハウを注ぎ、まさしくWRCで勝つためにTMR(トミ・マキネン・レーシング)とともに一から開発、TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ「GR」のオリジナルモデルとなる。

 Gazoo Racing Companyの友山茂樹プレジデントは、世界ラリー選手権を戦うための4WDスポーツ、次期WRカーのベースとしてGRヤリスの開発に着手するよう豊田章男社長の指示を受けたと説明した。

「Born from WRC(WRCから生まれた)。このクルマのコンセプトは明快です。それはラリー王国トヨタを不動のものとするためのウェポンです」と友山プレジデントは語った。

「GR ヤリスは、セリカGT-FOUR以来、トヨタにとって20年ぶりの4WDスポーツです。これまでのように市販車を改造してレースに勝つクルマを作るのではなく、レースで勝てる市販車を一から作るというこれまでとまったく新しい発想で開発されたクルマです。それによって従来のトヨタとしては考えられないスーパーホットハッチが誕生しました。そして、戦闘力だけではありません。多くのお客様にクルマを操る楽しさをもう一度教えてくれるクルマになった。Fun to Drive againという思いを呼び覚ましてくれるでしょう」

 GRヤリスはTNGAの思想に基づくスポーツ4WDプラットフォームを採用、WRCの現場からのフィードバックを踏まえ、バランスの取れた高剛性ボディを実現するとともに、リヤサスペンションはダブルウィッシュボーンを採用するなど、一から鍛え上げ、前後のサスペンションジオメトリを最適化。スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」との組み合わせによって、高次元での動的性能を追求しているという。

 また、GR ヤリスのボディには、アルミ素材のエンジンフード、トランクリッド及びドアパネルに加え、形状自由度の高いSMC工法で成形されたCFRP素材のルーフパネルを採用、軽量化を図りながら優れた空力性能を示す強固な3ドアタイプのキャビンとしており、グループA のホモロゲーションモデルとしては史上もっとも軽量化を徹底して行い、まさしくWRC を勝ちに行くためのマシンとして市販されることになる。

 GRヤリスに搭載される「驚くほどコンパクトな」1.6リッター直列3気筒直噴ターボエンジンは、TMGの協力のもとでグループR5/Rally2マシンのベースエンジンとして使用することを前提として新設計されたニューエンジンとなり、軽量な運動部品採用によるエンジンの高回転化、ターボチャージャーなど吸排気系の最適化によって、3気筒エンジンとして世界最高レベルの出力200kW(272PS)を誇る。

 また、新型エンジンが生み出すパワーは、多板クラッチによる前後駆動力可変システム採用の新開発スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を搭載、前後駆動力配分の自由度を拡大し、より卓越した走行安定性を実現しているという。

 GRヤリスは、10日からWEBサイトにおいて先行予約を開始、2020年夏頃の販売のスタートが予定されている。関係者によれば早期に2万5000台の販売を達成して、このマシンのホモロゲーションを取得することを目指しており、2021年からのWRC投入を目指すという。

 GRヤリス車両本体価格は、特別仕様車RZ“First Edition”が3,960,000円(税込)、RZ“High performance・First Edition”が4,560,000円(税込)を予定している。