JAPAN2021/11/01

GRヤリス、デビュー初年で全日本タイトルを獲得

(c)Toyota

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 10月30日〜31日に愛媛県上浮穴郡久万高原町を拠点に開催された久万高原ラリーで、TOYOTA GAZOO Racingの勝田範彦/木村裕介が今季4勝目を飾り、トヨタGRヤリスにデビュー初年で全日本ラリー選手権のタイトルをもたらすことになった。

 TOYOTA GAZOO Racingは、モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2015年から全日本ラリー選手権に参戦、2021年からはGRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」を投入し、最上位カテゴリーであるJN1クラスに挑戦してきた。

 勝田は今季からTOYOTA GAZOO Racingに移籍、ホームイベントともいえる開幕戦新城ラリーからGRヤリスとともにシーズンをスタートしたが、SS1をスタート早々からエンジンの問題からストップ、波乱のデビューを迎えていた。

 勝田は4月のツール・ド・九州2021 in 唐津ではGRヤリスにとって初のベストタイムを奪って、マシンの熟成の兆しを示すことになったが、ここでは4位に終わることになり、集中テストをこなしてサスペンションの熟成を図って臨んだ5月のラリー丹後ではドライとウェットの難しいコンディションのなかで2位フィニッシュ、GRヤリスでの初表彰台を奪って、着実な熟成を証明している。

 勝田は6月のモントレーではスピンによって表彰台を逃したあと、今季初のグラベルラウンドとなる7月のARKラリー・カムイでトヨタに移籍後初勝利を飾り、GRヤリスに全日本初勝利をもたらすことになった。

 勝田は、8月に予定された横手ラリーの中止によるインターバルを利用して、集中的なグラベルテストを行い、サスペンションや駆動系の改良を行い、9月のラリー北海道で今季2勝目を達成することになった。彼はさらに10月のM.C.S.C.ラリーハイランドマスターズではGRヤリスでのターマック初勝利を達成、むかえた最終戦の久万高原ラリーでも最終日のウェットコンディションのなかで逆転勝利を飾り、2017年以来となる、9度目のチャンピオンに輝くことになった。

 勝田は先週末の戦いをふりかえって次のようにコメントしている。

「厳しい戦いでしたが、最後に勝つことができました。チームのみんなが頑張って、素晴らしいクルマやタイヤを用意してくれましたし、『自分が頑張らないと』と思いアタックしました。私自身にとっては久々のチャンピオンですし、木村選手は初のチャンピオンです。GR YARIS GR4 Rallyの参戦初年度でここまで来られるとは思ってもいなかったですし、チームの頑張りにはあらためて感謝しています。シーズン中に経験したすべてのことの積み重ねが、タイトルに導いてくれました。応援ありがとうございました!」

 豊岡悟志(チーム監督)は、厳しいシーズンのスタートからチームとマシンが強くなれたとシーズンをふり返っている。

「先ずは最終戦まで激しい戦いを繰り広げ、一緒に全日本ラリーを盛り上げることができた、ライバルの福永選手に心から敬意と感謝を申し上げます。初戦のトラブル、どん底のスタートから、メカニック、エンジニアが本当に必死に改善を積み重ね、テストを繰り返してたくさんの事を学び、一戦毎に強くなれたと思います。必死にチャレンジしてきたので、最後は天候も味方してくれて、勝田選手がチームの想いを、素晴らしいゴールへと運んでくれました。支えてくださった関係者の皆様、一緒に戦ってきた仲間、全ての方にただただ感謝しかありません」