WRC2018/05/10

Mパート、EVマシンのミラージュR5開発へ

(c)Mpart AB

 スウェーデンのMパートABは、R5レギュレーションに基づいて製作した三菱ミラージュR5をベースとしたEVラリーカーの開発に着手している。チームとしては秋からプロトタイプ・バージョンを走らせることを目指している。

 このミラージュR5eは2つの電動モーターが搭載されることになるようだ。1つは前輪を駆動させ、もう一方が後輪を動かし、合わせて250kWあるいは600Nmのトルクを生み出すという。

 Mパートが開発を手がけたミラージュR5は、スウェーデン選手権を手始めとして、イギリスのフォレストラリーシリーズのほか、アジア-パシフィック・ラリー選手権に至るまでワールドワイドなシリーズに登場している。

 Mパートのディレクターでこのデザインを手がけるトーマス・ウェンはこれまでの2年間、このクルマのEVバーションの構想を抱いていたという。

「我々がこのクルマのEVバージョン製作していくことはずっと私の頭の中にあった」と彼は語った。

「自動車産業が向かっている方向についてははっきりと見えていた、だから異なるエネルギー源、ガソリン、PHEV(プラグイン・ハイブリッドEV)そしてEVオンリー、によって動くクルマを作り上げることは全く理にかなっていることだ」

「最大の課題となるのは、組み立ての作業ではなく、バッテリーの充電方法と、どの程度の距離をカバーすることが達成可能かどうかにある。いずれにしても、製作者たちはいずれ作業を開始しなければならないし、我々が代替燃料やパワープラントに関して押し進めていくたには、この技術の開発が進んでいることが重要である」

 ウェンは9月にはプロトタイプマシンの走行テストの準備ができると付け加えた。

「ほとんどの技術はすでに備わっているため、すべてがうまく噛み合いまとまっていけば、早ければ9月にはプロトタイプが準備できるかもしれない」

「100%EVラリーカーのクラスを、あるいはフィールド全体EV車のイベントを目にする日もそう遠くはないだろう」

「ラリー純粋主義者たちは今の流れは好まないかもしれない、しかし我々が、自分たちのモータースポーツとそれに関連するビジネスが生き残っていく道を目指すなら、テクノロジーを受け入れていく以外にない」

 三菱は2005年の末以来ラリーの最高レベルでの関わりを持っていない。そしてマニュファクチュアラーは、大概のインターナショナル・イベントや選手得に参戦するためのFIAホモロゲーションを得るためにはマニュファクチャラーが申請する必要がる。

 MパートABは、ミラージュR5のFIAホモゲーションのために三菱自動車と交渉を行ったが、話し合いは物別れに終わっている。したがって、このマシンはいまだに正式なFIAホモゲーションをもたないため、WRC2などの選手権への参戦の資格はないが、もし将来のラリーがEVに移行する時があれば、三菱がこのプロジェクトを承認する日が来るかもしれない。