WRC2018/12/17

Review2018:オジエ、王者への試練

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 セバスチャン・オジエが6度目のワールドチャンピオンに輝いた。これで同じフランス出身であるセバスチャン・ローブがもつ伝説のタイトル記録まであと3つに迫った。しかし2018年はこれまでと違っていた。最終ラウンドの極限のプレッシャーかかった雰囲気の中でタイトルが決定するという状況は彼にとっては初めてのものだった。

 開幕戦から4戦のうちの3戦に勝利したオジエとコドライバーのジュリアン・イングラシアは17ポイント差でティエリー・ヌーヴィルをリードした。しかしその後のヌーヴィルの躍進と、ポルトガルの木の根っこがオジエのステアリングにダメージを与え、彼のフィエスタがディッチに送り込まれてからこの一年が様変わりすることとなった。

 オジエはヒュンダイのヌーヴィルを23ポイント差で追って3ラウンドを残してラリーGBに向かう。彼は3位まで順位を下げ、これまでのように狙われる側よりもむしろハンターの側に立つという彼にとっては不慣れなポジションに置かれることになり、追い込まれたことで彼の戦いへの本能が目覚めることになる。

 オジエはラリーGBで5回目となる勝利をつかみ取ると、スペインでは再び緊迫した最終日のフィナーレを経て2位になり、最終戦のオーストラリアまで勝負は持ち越された。この時点でセブはトップに返り咲いているが、ヌーヴィルとオイット・タナクがすぐ背後から追う。

 オジエはニューサウスウェストの森では、素晴らしい輝きを見せた。最初のスタート順は最悪の一番手スタート、ルースグラベルの道路掃除は彼の後ろを走るドライバーたちにとって有利となる。

 しかし、彼はスタート前の緊張をうまく逃し、王者を奪うという断固たる決意と絶対に負けられないという強い思いを貫き、シリーズの中でも最もトリッキーとなったステージでも決してミスをすることなく、ライバルたちはクラッシュで消えることになった。これまで5つのタイトルを獲得してきたという経験値の違いが、まさしく最後の局面でオジエに6度目の王座をもたらしたと言えるだろう。