WRC2020/04/02

WRCに珍ルール、コドライバーも運転の義務?

(c)Toyota

 世界ラリー選手権公式サイトのwrc.comは4月1日、「WRCにエキサイティングなルール変更が導入!」というニュースを掲載、WRC にさらなる興奮を呼ぶためにドライバーとコドライバーがシートを交換する、「スワップ・シート・スペシャルステージ」を導入することが決定したと発表した。

 もちろんこの記事はエイプリール・フール・ジョークであるのだが、すぐにジョークであることを悟って記事を楽しんだファンがいた一方で、伝染性のウイルス感染症のように嘘の情報を拡散させて混乱を招かないようにしようという国際的なエイプリール・フール自粛ムードのなかで掲載されたこの記事への批判の声も見受けられ、同じ日に2022年からWRCに導入される新しいテクニカルレギュレーションが決定したという重要な発表があっただけに、これを完全に事実だと誤認したままのファンも多いだろう。

「スワップ・シート・スペシャルステージによって、すべてのドライバーとコドライバーは、今後のラウンドごとに1つのステージのシートを変更する必要がある。ドライバーとコドライバーはシートを切り替えるステージを自ら決定することが可能となり、これがパワーステージで行われた場合には、獲得したボーナスポイントは自動的に2倍になる」とwrc.comのニュースでは伝え、ヤリ-マティ・ラトバラが最近元WRCドライバーのユホ・ハンニネンとコンビを組んだのはこの決定を事前に知らされていた可能性があるとの示唆もあると報じている。

 英国人の難解なエイプリール・フール・ジョークは有名だ。1950年代にBBCは「イタリアではパスタが木に生り、農家の人たちが収穫に追われている」と放送、多くの国民がそれを後年まで信じたと言われているほどだ。しかし、こうした悪夢のようなジョークを吹き飛ばしてしまうほどの事例がWRCの歴史には存在する。

 2011年のラリー・スウェーデン初日、ペター・ソルベルグがロードセクションで速度違反を犯し、日曜日の14時30分以降、免許停止処分が下されたため、その時刻を過ぎたあとで行われた最終ステージではコドライバーのクリス・パターソンが運転、34番手という悲惨なタイムで4位から順位を一つ落として5位でフィニッシュしたという先例がある。