WRC2020/10/25

WRC2のポイント獲得のルールをめぐり混乱

(c)Citroen

 シトロエン・レーシングとマッズ・オストベルグは、世界ラリー選手権のWRC2カテゴリーにおいて、レギュレーション変更されたあとのポイント獲得システムを巡ってチームに対立があるためFIAに明確な説明を求めている。議論の中心となっているのは、チャンピオンシップの残り2戦にドライバーをエントリーすることができるのはどのチームであり、誰がエントリーできるのかということだ。

 今月初めに行われたラリー・イタリア・サルディニアでWRC2のエントラント間においてポイント獲得のルールをめぐる対立があることが発覚、PHスポールから出場するオストベルグは今季4戦目のイベントであり、まだもう1戦の出場資格があるとの認識をもっていた。しかし、TOKスポーツのポントゥス・ティデマンドにとっては5戦目のイベントであり、3勝目を飾って選手権をリードしたままこれが今季最後のイベントになるかにも見えたが、彼は次戦以降への参戦計画があると表明したことからチーム間で議論されることになった。

 WRC2の参加規定はシーズン開始時に変更されている。2月27日、FIAはスポーティングレギュレーション6.2.2を改訂し、各エントラントが出場できるイベント数を変更、これまで「最低8戦へ出場しなければならない」とあったものを「8戦に出場しなければならない」と変更することになった。

 しかし、新型コロナウイルスの影響でシーズンのカレンダーが減ったことでふたたびWRC2参加規定が見直しとなっており、スポーティングレギュレーション6.2.2.2において「5戦に参戦しなければならない」と新たに定めている。

 さらに詳しく言うなら、この5戦への出場義務はドライバーのものではなく、チームに対するものだとしてルールは次のように定めている。「WRC2に登録されているチームは、各戦に2台を超えるマシンをエントリーすることはできず、最低1台のマシンで5戦に参加しなければならない」

 この「5戦に参加しなければならない」との記載について、シトロエンとオストベルグは「それ以上でもそれ以下でもなく、合計5戦のラリーに参加しなければならない」というルールのはずだったと説明、TOKスポーツ、ヒュンダイ、Mスポーツがこれ以上参加するのは不可能だと主張している。

「サルディニアに行ったとき、ヒュンダイとMスポーツのドライバーたちと話していたら、彼らのシーズンはイタリアで終わったと言っていた。彼らはサルディニアで5戦目のラリーを終えることになる。それは僕の理解と一致していた。僕にとってはサルディニアは4戦目のイベントであり、まだもう1戦が残っているドライバーは僕だけのはずだった」とオストベルグは語った。

「だから、イベント前の記者会見でポントゥス(・ティデマンド)がシーズンの残りも走ると言っていた時だけは驚いたし、確認したんだ。ルールには、各チームがエントリーするラリーは5戦で、5戦しかないと明記されている。それが今や、ヒュンダイとMスポーツも考えを変えて、ポントゥスのTOKチームの見解を支持するようになった」

「シーズン終了後の2回のラリーでこのようなことが起こるなんて、前代未聞のことだ。そしてFIAはこのような大きなルール変更を容認しようとしているが、それはスポーツとしてどうなのだろうか?」

「僕らはルール通りに5戦を選び、これまでに2戦をスキップしてきた。好きなだけ出場できるなら異なる選択もあったはずだが、今になってルールを変えれば、すでに5戦を終えている他のドライバーが有利になる」