WORLDWIDE2018/07/16

タナク、母国エストニアで凱旋勝利

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 トヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームのオイット・タナクが、7月13〜15日に母国エストニアで開催されたラリー・エストニアにヤリスWRCで参戦、16ステージのうち11ステージでベストタイムを奪う圧巻のスピードをみせてラリーを独走、わずか1.74kmの最終ステージでは集まったギャラリーのためのファンサービスにたっぷり時間を費やして30秒近くも遅れたが、それでも2位のヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)に59.3秒もの大差をつけて凱旋勝利を飾っている。

 ラリー・フィンランドと並ぶ高速ステージをもつラリー・エストニアは、以前からフィンランドのための準備として利用されることが多かったが、今年はタナクの参戦をはじめ、ヒュンダイ・モータースポーツからパッドンが出場したほか、クレイグ・ブリーンがシトロエンC3 WRCで参戦するなど、4つのマニュファクチャラーのうち3チームが最新のWRカーで出場する注目の一戦となった。

 また、ヤリスWRCが世界ラリー選手権以外の実戦を走るのは今回のエストニアが初めてのこととなった。

 昨年よりディフェンシブなコース設計となったとはいえ、今年もエストニアは平均速度130km/hオーバーのステージがいくつもあったほど、あいかわらず超高速イベントとなった。フィンランドのような大きなクレストはないが、表面をやわらかいグラベルが覆った高速ステージは滑りやすく、タナクはベストタイムでラリーをスタートしたものの、「ベストタイムを狙うのではなく、高速ステージでのセッティングを試しながら行くつもりだ」と、あくまで照準はフィンランドにあると語っていた。

 それでもタナクは、初日の11ステージのうちを8つステージでベストタイムを奪い、最終日も5つのうち3つのステージでベストタイムを重ねて、母国のファンを前に圧巻の勝利を飾ることになった。

「本当に素晴らしいイベントだった。これだけ多くのファンが応援してくれて僕らに期待してくれている。僕らはいまや、フィンランドでどうすべきかかなりいいビジョンをもつことができた」とタナクは語った。

 タナクの後方は波乱の最終日となった。初日を終えて、タナクから20.8秒遅れの2位に付けていたのはブリーンだったが、最終日の朝のサービスでターボに問題があることが発覚する。急遽、チームは交換作業を行ったが、ブリーンはサービスアウトに13分遅れで2分10秒のペナルティを科されて3位へと後退する。

 これでパッドンが2位へと浮上。彼は初日からリヤのグリップに苦しんできたが、最終日にセッティングの調整を行ったことで「やっと自信をもって攻められるようになった」とコメント。おそらくこのラリーで初めて本気で攻めた終盤のSS15では残念ながらタイヤのリム落ちの問題を抱えて50秒をロス、それでもどうにか2位をキープしてフィニッシュすることになった。

 朝のサービスで3位と後退したブリーンだが、最後までこの高速ステージの攻略を諦めない走りを続けることになった。彼はSS12では6速全開で時速181km/hでスピンしてコースオフ、20秒をロスすることになったが、SS13ではこのラリーで3つめのベストタイムを記録するなど果敢な走りを続けて3位でゴールを迎えている。

 R5マシンのEMV3クラスは、フィンランド選手権リーダーのエーリック・ピエタリネン(シュコダ・ファビアR5)とヤリ・フットゥネン(ヒュンダイi20 R5)のフィンランド人対決となり、17.8秒差でピエタリネンが優勝を飾っており、母国でのWRC2デビューにむけて完璧な走りをみせている。