WRC2019/03/14

トヨタ、新しいオルタネーターをテストへ

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームは、ラリー・メキシコでヤリ-マティ・ラトバラがストップする原因となったオルタネーターの問題の解決に向け、今週から新しい部品のテストを開始する。

 ラトバラは金曜日の夕方に2回の走行が行われるレオン・スーパーSSの直前にバッテリーの電圧を失ってヤリスWRCをストップさせることとなった。彼は昨年も同じステージの1回目の走行のあとで同じ症状でリタイアとなっており、チームメイトのオイット・タナクは、今年、ラトバラにバッテリー上がりの問題が生じた直後のスーパーSSでは電力の消費を抑えるためか、ナイトポッドのランプを消して走行を行っている(写真)。

 トヨタは過去2年間、メキシコではオーバーヒートのトラブルに苦しんできたが、エンジンパワーを多少押さえるなどの対策を講じたことによって今年は同じ問題は発生しなかった。しかしながら、メキシコでは30度を超える外気温と空気の薄さからエンジンルームの熱気が逃げにくいことはどのマシンにも共通する問題となっている。なかでもオルタネーターはラトバラ同様にヒュンダイのダニエル・ソルドも首位争いからリタイアした原因となるなど、メキシコでは泣き所の部品の一つとなっており、とくにステージ・エンドでマシンを止めた時にエアフローによる冷却を失ったとき問題が多発しているように見受けられる。

 極度の高熱によって問題が起きるのは、オルタネーターの発電部分そのものではなく、発電した交流電流を直流に変換して制御するレクチファイアと一般的には考えられており、トヨタの場合もオルタネーターの発電量不足というよりレクチファイアが原因でオルタネーターからバッテリーに電気を送るコネクションに問題が生じたためにバッテリーが上がったと考えているようだ。

 トヨタにオルタネーターを供給しているのは、マクラーレン・グループのマクラーレン・アプライド・テクノロジーだ。チーム代表のトミ・マキネンは問題の解決のために新しいオルタネーターのテストを行うつもりだと語った。

「我々は、接続部分を高温による影響を受けないマニュアルの接続に修正できないかとメーカーに求めたが、実現できていない」とマキネンは説明している。

「我々としては、解決策を見つけるために、他のサプライヤーのものと比較するテストをダイノで行っていく。ヨーロッパに戻ったらすぐにでもこの作業を開始するつもりだ。これは今すぐ直していく必要がある」

 ラトバラのオルタネーターの問題を除けば、3台のヤリスすべてが今年はオーバーヒートのトラブルがなく走行を続けることができており、マキネン代表はヤリスの進化を喜んでいる。

「メキシコはドライバーにとっても、エンジニアにとっても、そしてメカニックにとっても、非常に厳しいラリーだったが、過去2年間と比べると我々のクルマは大きく進化した。冷却系に問題は起こらず、高いパフォーマンスも発揮できた」