WRC2018/12/28

【TOP10-第7位】エサペッカ・ラッピ

(c)Toyota

 エサペッカ・ラッピは、今季、13ラウンドのパワーステージでオイット・タナクと並ぶ最多となる3回のステージ勝利を飾っていることからもわかるように、その速さはナンバー1のポテンシャルを秘めている。しかし、本格的にWRカーでの挑戦を始めてから2シーズン目を迎えた今季、彼はまだヤリスWRCの真の限界を測りかねているようだった。スピードのスイートスポットの狭さゆえ、ときにオーバーペースでスピンを喫し、グリップレベルの変化に戸惑い、まだその才能を具現化できないでいたように思う。

 昨年のポルトガルでWRカーデビューしたラッピにとって、開幕からの4戦は彼にとってのWRカーの初参戦のイベントとなった。雪と氷のモンテで、フルスノーのスウェーデン、高地のアルゼンチン、それらは彼にとっては学びのラリーであり慎重なアプローチを自らに課しただろう。

 とくに金曜日の朝のループでペースが上がらないのは今季見られた彼の特徴だ。選手権はさまざまなキャラクターをもつラウンドを転戦するため、ペースを掴むころにはラリーはゴールを迎えてしまう。サルディニアでも金曜日の昼の時点では10位だったが3位まで順位を上げている。同じく初日昼の時点で7位から3位まで浮上したドイツ、難しいウェールズでさえ11位のスタートから今季3度目の表彰台を手にしている。

 彼のいまをもっとも象徴しているのはフィンランドだろう。昨年優勝している得意なはずの母国ラウンドでさえ金曜日の朝のスピンでペースを上げられずに10位にポジションを落とし、土曜日にはベストタイムを連発して4位まで挽回したが、さらにペースを上げた矢先にミスによりクラッシュアウトしてしまった。

 ラッピは来季、トヨタからシトロエンへと移籍して新しいチャレンジを開始する。チャンピオンチームから最下位のチームへの移籍については否定的な意見も多いだろうが、彼はこれっぽちも焦ることなく、素晴らしいチャンスが待っていると前向きに考えている。「僕はトヨタでヤリ-マティ(・ラトバラ)とオイット(・タナク)からいろいろ学んだ。そして新しいシーズンは、チャンピオンから学ぶことができる。もし僕がそのすべてを自分のものに出来れば、僕はドライバーとして成功する鍵をすべて持っているはずだ」


■エサペッカ・ラッピ
生年月日:1991年1月17日(27歳)
選手権ランキング:5位
獲得ポイント:126点
ベストリザルト:3位
優勝回数:0回
2位の回数:0回
3位の回数:3回
表彰台回数:3回
出場回数:13回
ベストタイム回数:18回
リードしたステージの数:3SS
リタイア数:2回
ラリー2の回数:2回
パワーステージ勝利数:1回
パワーステージ獲得ポイント:23点