やっぱりラリーが好きなのだっ!~編集代表のラリーな日々ブログ~

このマシンでトヨタが好きになった。

マシン列伝が公開になりました。今週は、トヨタにとってのサファリ初優勝のマシンとなったグループBマシンのセリカ・ツインカムターボと1993年のラリー・オーストラリアで初めてトヨタがマニュファクチャラーチャンピオンを決めたときのカンクネンのST185を紹介しています。
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セリカ・ツインカムターボは、僕がラリー好きになったきっかけになった憧れの一台でもあります。「初出場のマシンはサファリに勝てない」というジンクスをうち破った歴史に残る勝利でしたが、なんとバルブが破損してもういくらも走れない状態だったというエピソードが紹介されています。

それより記者として取材することができたST185はもっと親しみのあるマシンです。この年の1000湖ラリーでミッコラがテストしたミスファイアリングシステムはスペインからチームに正式採用され、このオーストラリアではぶっちぎりの優勝を飾り、初の王座を獲得したマシンになりました。

お、そういえば、ヤリスWRCはエアをマニホールドに送るバイパスを止めたんですね。ミスファイアリングシステムはトヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)で生まれた技術です。ヤリスはテスト段階ではTTEの技術を継承するかのように、パイピングを備えていましたが、いまはもうご覧のようにパイピングがありません。
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エキマニ取り付け部分上部にエンジンブロックのなかをエアを送るバイパスのふくらみが見えますが、これはフォルクスワーゲン・ポロが導入した方式です。何度かテストした結果、もっとも燃焼が制御しやすい方式に落ち着いたということでしょう。見た目からもわかるようにシンプルで、トラブルが起きにくい構造ですね。TTE育ちのナンダンが率いるヒュンダイが、TTEで生まれたパイピング方式を継承しているところも興味深いところです。

今回は僕にとってのかなりツボな2台を紹介しました。今年のスウェーデンでラトバラの優勝でWRCに目覚めた人が、いつか僕と同じように「このマシンでトヨタが好きになった」と原稿を書くことになるかもしれないですね。

みなさんの好きなトヨタのマシンがあったら、ぜひ聞かせてください!



サファリ無線への道。

本日はレオーネの無線のお話を、長い前置きからはじめたいと思います。

かつてのサファリ・ラリーのことを思い出すと、どうしても遠い目になっちゃうのですが、超ハイスピードのセクション、ガレ場やマッドホールやでこぼこ道を5000km近くも走っていたのですからクルマが壊れないほうが不思議なわけで、いかにリタイアさせないようにクルマを直してゴールさせるかが勝負だった時代でした。

ワークスチームはどんなところでもすぐに飛んでいけるようにヘリを飛ばし、エアメカニックが工具と応急パーツをもってヘリから飛び降りて修理するなんて荒技をしていた時代です。

もちろんなにか起きたときのためにすぐにサポートできるよう、ラリーカー、チーム、サービス部隊との間の通信手段を確保することは不可欠でした。そして広大なサバンナで無線を中継するために、わざわざセスナを飛ばしたのです。つまり無線が付いてないサファリ・マシンなんてありえないのであります。
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こちら1986年サファリ・ラリーで走ったポッサム・ボーンのレオーネ。ルーフには高く伸びたアンテナが見えます。

せっかくなのでなんとか1986年のサファリ・ラリーで使用されたものと同じ無線リグをレオーネにも車載したかったのですが、クルマの資料は見つかるのですが、無線機の写真などは見つからず・・・。

とりあえず、チームのスポンサーにケンウッドがついているので、1980年代前半に市販されていたケンウッドTM-211を手に入れてみました。
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しかし、こちらの送信出力は11wと小さく、おそらくケニアでは出力を上げるためにバリバリに改造がされたものが使用されていたのだろうか、なんて想像していたところ、偶然にも当時の貴重な資料を発見しました。
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それは『ラジオライフ』1986年10月号! 

「盗聴器の全貌をあばく」という物騒な巻頭特集に加え、なんと「サファリ・ラリーで業務無線が大活躍!」というスペシャルな記事が。まさしく1986年に行われたサファリ・ラリーについての高岡祥郎監督のインタビューが掲載されていたのです。
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しかも、無線の機種もケンウッドのTK-701Sだということが判明! ケンウッドの輸出モデルで出力50w、周波数は150-174MHzというパワフルな業務用スペックを誇り、ラリーカーが時速170km/hで移動しているときでも、高度3000フィートで飛ぶセスナのレピータを介せば、監督車のアルシオーネ号と300km以上離れていても無線で話すことができたそうです。300kmって言えば、東京から名古屋とか仙台ですよ!

アンテナは天井に穴を開けるのではなく、マグネット基盤をもつアンテン工業のAF-10をルーフに貼り付け、銀テープでケーブルごと貼り付けていたなんていう貴重な証言も! さらにはサバンナをハイスピードで移動するので、マイクはフックなどを使わずにマジックテープでバケットシートの脇にぺたりと固定していたなんてエピソードも紹介されています。さすが専門誌、すばらしい取材だっ!

さっそくこの無線機を手にいれようと思い、秋葉原に行ってみたのですが、もはやアキバでさえ中古無線機を扱っている店はほとんどないのだとか。ああ、かつての無線街もいまや昔なのでありました・・・。

そのなかでももっとも古くからがんばっている老舗の富士無線さんにTK-701Sの情報について聞いてみたところ、「この10年で、いやひょっとしたら20年で一度も見たことないですねえ・・・」とすげない返事。あとはアメリカしかないかな・・・というわけで世界的なオークションサイトのeBayで探す日々がはじまったのであります! 
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なかなかいいやつが見つからなくて、気が遠くなるくらい時間がかかりましたが、やっと本日、悲願のTK-701S がついに日本上陸です。さすがeBay! うれしいので箱もご紹介です。

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おおっ、これがっ! これが86年のサファリで大活躍した業務無線です! 手に入れるまでに丸1年! 涙がでそうっー!



濡れた路面で強かったロイクス。

トヨタ・マシン列伝の今週の2台が公開されました。そろそろカストロール時代のマシンが見たいというリクエストにお応えして、まずは1998年モンテカルロのサインツのカローラWRCの登場です。そして2台目は1997年イープルのロイクスのセリカGT-FOUR ST205です。
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こうしてずらりと並ぶと壮観ですね!

ロイクスは昨年11回目のイープル優勝を飾って、現役を引退しちゃいました。最後まで雨で濡れたイープルで敵なしでしたが、滑るターマックでは最初から速かったんですよ。

1997年モンテカルロのブルゼのステージでも、シャーベットのステージで派手な走りでもなかったのにトップタイムだったし、ほとんど無名だったのに(って、僕が知らなかっただけなのですが)ちょっとした衝撃的だったなあ。あのころは各国の選手権とWRCのマシンは同じ車両規定だったこともあったので、あまり名前が知られてなかったドライバーがある日突然、ぽっと世界選手権でニュースになるような走りをしちゃうことがあったんですよ。

この連載では、今回のサインツのカローラのようなトヨタの黄金期を支えたワークスドライバーとワークスマシンのストーリーだけではなく、ロイクスのようにトヨタとともに成長してきたドライバーたちにもスポットをあてていきたいと思っています。

いまは思いつくままにマシン一台ごとのストーリーを紹介していますが、そのうちにマシンを年代やドライバーごととかお好みに応じて表示するなんてことも考えています。100台を超える頃にはなんとか、ね。
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イラストレーターの古岡さんとの打ち合わせも今年に入って15回ほどになるでしょうか。まだまだ連載は始まったばかり。さらなるマシンが続々と生まれつつあります。画面にはちらりと次回作! これも当時のロゴを探すのが大変だったんですよ! お楽しみに!



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