WRC2018/12/27

【TOP10-第8位】マッズ・オストベルグ

(c)Citroen

 マッズ・オストベルグは、ラリー・フィンランドの初日、オイット・タナクと激しくトップを争い、2014年のラリー・メキシコ以来、実に4年ぶりにラリーをリードした。魅せるジャンプを控え目に跳躍して、熱病にかかったかのように高速コーナーに集中した3日間だった。最終ステージまでもつれたヤリ-マティ・ラトバラとの勝負に勝って2位でフィニッシュした彼は、「これまでの人生で最高のラリーになった」とゴールで目を輝かせた。

 タナックの速さの前に優勝こそならなかったが、エンジンをアップデートした2台のトヨタの間に割って入ったオストベルグの速さは、沈みがちだったシトロエンの活気を蘇らせることになった。そして、セバスチャン・ローブの劇的なスペイン優勝がなければ、おそらくこの2位はシトロエン・レーシングにとってシーズンのハイライトになっただろう・・・。

 オストベルグは当初、今季はスウェーデンの1戦だけの予定だったが、突然チームを解雇されたクリス・ミークに代わってフィンランド以降のシートを得ることになった。その将来は約束されたものではない。あくまで代役という立場だ。しかし、彼は北欧勢の牙城ともいえる一戦の結果がさらなる長期の契約につながることを信じて、まさしく人生一番の大勝負をかけたのだ。

 苦手なドイツではグラーフシャフトのクラッシュに終わり、トルコではサスペンションを壊してリタイアとなった。トリッキーなウェールズでは8位にとどまったが、最終戦のオーストラリアでは3位でフィニッシュ、シトロエンの来季のシートを掴むためのチャレンジは成功したかにも見えたが、アブダビのスポンサーを失ったチームが3台目のC3 WRCを走らせることを断念、彼の夢も潰えることになった。

 またシートを探す戦いをゼロから始めなければならないが、オストベルグはふたたびトップレベルに帰ることは十分に可能だと信じている。「僕は前にもそれをやったし、もう一度やり直すことができる」。チームのために完璧な仕事ができたという誇りが、彼を前に進ませるためのエネルギーとなっている。


■マッズ・オストベルグ
生年月日:1987年10月11日(31歳)
選手権ランキング:10位
獲得ポイント:70点
ベストリザルト:2位
優勝回数:0回
2位の回数:1回
3位の回数:1回
表彰台回数:2回
出場回数:8回
ベストタイム回数:6回
リードしたステージの数:12SS
リタイア数:1回
ラリー2の回数:2回
パワーステージ勝利数:0回
パワーステージ獲得ポイント:7点