2021年にWRCとして復活したアクロポリス・ラリー・ギリシャは、5年目を迎えた今年はここ数年にはなかったほどの試練の週末となりそうだ。
レッキを終えたドライバーたちは、今年のステージは、むき出しの岩と無数の小石が転がり、鋭く尖った石が路面を覆っていると報告している。とくに2回目の走行では走行によって路面にわだちが刻まれ、かきだされた大きな石が路面に転がるため、さらに危険なコンディションとなることも警戒されている。
かつての伝統にならってこれまでの9月から6月の開催に戻り、連日40度を超える酷暑のなかでの開催されることになるため、ティエリー・ヌーヴィルはコクピットが70度を超えるかもしれないと語った。
「車内は間違いなく70℃、もしかしたらそれ以上になるだろう」とヌーヴィルは語った。「今週末の最大の懸念事項は、パンクのリスクと並んでコクピットの温度だ。サルディニアでもコクピットの暑さはすでに厳しい状況だったが、ギリシャも暑さに苦しんでいる人たちが目立つ。もしかしたら、気を失ってしまう人もでるかもしれない」とヒュンダイのティエリー・ヌービルは語りました。
ドライバーの負担を軽減するため、各チームとも「新たな秘密兵器」を今週末に投入する。トヨタはドライバーを冷やすための新しい試みを導入すると見られており、ヒョンデはヘルメットに冷却システムを搭載した。
このシステムはルーフスクープから空気を取り込み、ヘルメット上部から冷たい空気を送り込むという。
「チームは今週末、ヘルメットに冷却システムを搭載した。これで集中力が少し高まり、それほど暑くならないはずだ。しかし、全体的には厳しい戦いになると思う」とヌーヴィルは語っている。
「チームマネージャーミーティングでは、ステージに飲み物を持ち込めるようにお願いした。ステージエンドで普段は水しかもらえないが、こんな状況では汗をかいてしまうとそれだけでは足りない。チームがステージの終点に少なくとも水分補給ドリンクの入った箱を届けてくれるようになると嬉しいね」
オイット・タナクもコクピットはサウナのようになるだろうと警告しつつも、やはり路面の石が最大の問題になると語った。
「コクピットはサウナのような暑さになるだろう。しかし、それよりステージは明らかに昨年より厳しい。ここ数年は湿っていたこともあったが、今は状況が全く違う。ドライだったことで路面は荒れ、当然のことながら埃も大量に舞ってくるが、やはり大きな問題は路面の荒れ具合、つまり石だ。マシンとタイヤにとって厳しい状況になると思う。間違いなく様々なことが待ち受けているが、それをうまくコントロールしていく必要がある」
ヒョンデのチームメイト、アドリアン・フールモーは、イベント前のテスト25km走行後に発生した問題を考えると、少しばかり不安を抱えている。
「あのタイヤでこれほど高い気温を経験したことはなかった。正直に言うと、テストではデラミネーション(トレッドの剥離)が発生していたので、確かに心配している。それが一番の問題だ。タイヤの摩耗は問題なかったが、デラミネーションが発生したらすぐにマシンを止めてタイヤ交換しなければならない」
「タイヤへの負担を少し抑えるなど、対処する方法はあるが、バトルをしているとそう簡単にはいかないだろう。特に土曜日の午後は、何とかしなければならない」
今週末の路面の荒れ具合を考えると、パンクを避けるには少しの幸運が必要になるかもしれない。
「ほとんどのドライバーにとって、それが最大の懸念事項だと思う」とヌーヴィルは説明した。「しかし、繰り返すが、慎重に運転していてもパンクするかもしれないし、全力でアタックしてもパンクするかもしれない。あとは運だけだ」