RallyCross2019/07/08

エリクソンが母国スウェーデンRXで初優勝

(c)FIAWorldRallycross.com

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 世界ラリークロス選手権第6戦スウェーデンRXがヘリエスで行われ、シーズン最初の世界RX参戦となったオルスベルグMSEチームからワイルドカード参戦したセバスチャン・エリクソン(フォード・フィエスタST)が母国ラウンドでキャリア初勝利を飾り、フル参戦中のドライバーたちを驚かせた。エリクソンは、オルスベルグMSEチームオーナーのアンドレアス・エリクソンと親子などの関係はない。

 Q4でトップタイムを叩き出して予選を2番手でまとめたセバスチャン・エリクソンは、セミファイナルでは最終ラップで首位のニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)がミスを犯したためにファイナルのポールポジションを獲得、フロントローにはケヴィン・ハンセン(プジョー208WRX)が並ぶことになった。

 エリクソンはファイナルでもスタートを決めてオープニングコーナーでリードを奪ったが、2列目から素晴らしいスタートを切って背後にピタリとつけたグロンホルムはそのまま2位で走行することを選ばず、ターン2のジョーカーにまっすぐ進むことになる。だが、直接対決を避けたグロンホルムの選択は災いの元となってしまう。追い上げてきたティミー・ハンセンがインサイドからプッシュ、彼はワイドにならざるを得ずに4番手に後退することになり、さらにラップ2の最初のジャンプから着地した際、左リヤタイヤがパンクし、順位を落とした。

 トップを無駄のない走りで快走するエリクソン。その後方の2番手に続いていたケヴィン・ハンセンは3周目でジョーカーを選択し、兄のティミー・ハンセンのリヤバンパーに接触寸前のぎりぎり後方でメインサーキットに戻ることになった。

 ハンセン兄弟はセミファイナルでも3つのコーナーにわたって激しくドアをぶつけ合う攻防を見せ、このファイナルでも激しいバトルを演じるかに見えたが、4周目、右フロントタイヤのパンクに見舞われたティミー・ハンセンがジャンプの着地で姿勢を乱したため、ふたたびケヴィン・ハンセンが首位のエリクソンから1.4秒差の2番手へと浮上することになる。

 だが、残り2ラップ、このまま逃げ切るかと思われたエリクソンのペースが上がらない。シーズン最初の世界RX参戦となったオルスベルグMSEチームは、週末を通してフォード・フィエスタの油温に苦戦しており、彼は3周目でこの日の最速ラップを記録したものの、ラップ4でジョーカーを選択して以降、油温の問題からややペースを落とすことになってしまったのだ。

 じわじわと背後にケヴィン・ハンセンが迫り、どうにかエリクソンは首位を維持していたが、ついに最終ラップで追いつかれ、2台は激しいテール・トゥ・ノーズの状態になる。そして最終コーナーで勝負をかけたケヴィン・ハンセンがインに飛び込み、エリクソンのフィエスタに接触、彼はもうすこしでスピンアウトするところだったが、ハンセンもスロットルを戻して後退し、エリクソンが0.3秒差で逃げ切って劇的なキャリア勝利を飾ることになった。

 エリクソンにとってこれが自身4回目の世界RXの参戦だ。彼は2014年に同じサーキットで今日と同じオルスベルグMSEチームからデビューしたが、惜しくも勝利を逃している。その時はフィエスタのサスペンションが縁石にぶつかって壊れ、マティアス・エクストロームに勝利を許し、最終的な順位は6位だった。

 ケヴィン・ハンセンは2位となったが、これによってポイントリーダーとなった。

 ヨーロッパ・チャンピオンのレイニス・ニティスは予選1レースの最初のコーナーでGRXヒュンダイを横転させたにもかかわらず、Q2を最速でフィニッシュするなど速さをみせてファイナルへ進み、ティミー・ハンセンとグロンホルムがパンクを喫したことで最終的に表彰台を獲得した。

 4位にはESモータースポーツのケヴィン・アッブリング(シュコダ・ファビア)、5位にはグロンホルム、6位にはティミー・ハンセンというオーダーでフィニッシュを迎えることになった。

 また、Q1とQ3を制したアンドレアス・バッケルド(アウディS1)は中間順位で予選トップに入り、セミファイナルをリードしたにもかかわらず、2周目にドライブシャフトを壊して後退し、ファイナルには進出できなかった。