セバスチャン・オジエは、ラリー・モンテカルロで偉大な10度目の優勝を成し遂げることになったが、最後のチュリニ峠のステージのゴール地点で感情が高ぶった彼は、Rally.TVのライブ中継で「これが最後なるかどうかはわからないが、(10勝は)辞めるにはいいタイミングかもしれない」と語り、世界に衝撃を与えた。
4日間にわたって行われた2025年のラリー・モンテカルロはけっして優しいラリーではなかった。雪の影響はそれほどなかったものの、濡れた路面やアイスや霜、あるいはかき出された泥が路面のグリップが何度も変化することになり、ハイブリッドのない新しいRally1カーと新しいコントロールタイヤのハンコックがさらにモンテの週末を複雑なものにすることになった。
オジエもまた木曜日のナイトステージでスタートして間もなくの左コーナーでリヤのグリップを失ってスライド、ディッチにリヤを落としかけてリヤをポールにヒット、スピンを喫してあやうくコースオフしかかっている。
この難しいコンディションとなったモンテで圧巻の勝利を果たしたオジエは、直後、最終ステージでは感極まってこれが最後のモンテになる可能性があると語ったが、ステージエンドのペイラカヴァからモナコに戻るときに心を整えることができたようだ。
モナコのフィニッシュセレモニーで行われた記者会見で、オジエはふたたびこれが最後のモンテになるのかと聞かれ、「この先、あと何回ここに来られるかわからないけど、今はただこの瞬間を楽しみたい」と少しだけ表現を変えている。
オジエは昨年のモンテでは最終ステージまでもつれた勝負でティエリー・ヌーヴィルに僅差で勝利を奪われることになり、今年も危ない瞬間もあった。オジエはそれでも今回は幸運の星が自身を味方してくれたと語った。
「勝利した瞬間にすぐに頭に浮かんだのは、叔父のことだ。今週末は幸運の星が僕に味方していると感じる瞬間が何度もあった。それは1年前のモンテの前に亡くなった叔父だったと思う。僕は彼のおかげでモータースポーツを始めることができた。きっとこの週末も彼が天国から僕を見守り、幸運を運んできてくれたのだと思う」とオジエは語った。
「彼は僕にあらゆるものをもたらしてくれた。そのおかげでモンテで10回も優勝することになった。いつかこんなことができるなんて想像もしていなかった。もちろんやめるのは残念なことだが、終わりに近づいていることもたしかだ。もしかしたら続けられるかもしれないが、いつかはやめる日も来るだろう」