WRC2022/09/28

カントがあるコーナーはタイヤのストレスも大きい

(c)Pirelli

 10年ぶりに世界選手権のカレンダーに復帰したラリー・ニュージーランドは、残り3ラウンドとなった今シーズンにおいて、まだ大きな可能性を秘めた重要な時期に開催される。中程度の摩耗があり、時にスリッパリーなために最適なグリップを探すのが難しい路面と、注意深いセットアップを必要とするコーナーは、ニュージーランドの伝統的な特徴であり、その形式によって一層挑戦的なものになっている。

 実際、2022年のイベントでは、2012年にも使用された伝説的なファンガコーストのステージで金曜日に2回の走行が予定されているほか、初日に全競技距離の半分以上が集中しているなど、特別な要素が盛り込まれている。初日は全17SS(279.8km)のうち、6つのSS(158.56km)を走行する。

 なぜ、ニュージーランドではタイヤが重要なのか。ニュージーランドのダートに覆われたグラベル路では、グリップを探り当て、タイヤとマシンの一体感を保つことがドライバーの課題となる。勝負の命運は早ければ金曜日にも決まってしまう可能性が高く、非常に長い一日というだけでなく、特にファンガコースト(SS2とSS5、29.27km)の走行は、カントをもったコーナーが特徴的で、タイヤの構造が試される。また、テ・アカウ・サウス(SS3とSS6、31.48km)は今シーズン最長のステージのひとつだ。タイヤの選択と戦略は非常に重要で、各クルーは性能、堅牢性、耐摩耗性の適切なバランスを見つけなければならない。

 ニュージーランドでは、ソフトコンパウンドのスコーピオンKX WRC SAがファーストノミネートとなっており、スリッパリーな路面や気温が低い状況下でも最大限のグリップを得ることが可能となる。現時点での予報では、ラリーウィークの週末に50%以上の確率で雨が降り、オークランドの気温は13度から18度となっている。

 ハードコンパウンドのスコーピオンKX WRC HAは、長距離とラフな路面に適しており、金曜日の長くて難しいステージには最適な選択肢となるかもしれない。

 ピレリはニュージーランドではトップカテゴリーのRally1カーのために440本のタイヤを用意する。Rally1のドライバーはシェイクダウンの4本を含め、ラリー中に28本までタイヤを使用することができる。各ドライバーにはソフトSAが24本、ハードHAが8本割り当てられる。2022年のグラベルラリーの新ルールでは、これら標準の割り当てに加え、シェイクダウンに出走する各ドライバーがさらに4本のタイヤをいずれかのコンパウンドで選択できることになっている。そのためハードHAを最大で12本使用することも可能となる。

 ラリー・アクティビティ・マネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニは、次のように語った。「カントのあるコーナーでは、タイヤは構造的に大きなストレスを受けることになる」

「今季最後のグラベルラリーは、間違いなく最も過酷なラリーのひとつとなる。最有力候補と選択肢はどちらも重要で、非常に多様なタイヤ戦略が見られると思う。構造的なストレス以外にも、特にラリー初日は摩耗が激しくなることが予想される。出走順の早いドライバーは、最初のいくつかの走行においてグリップが不利になる可能性がある。また、天候も未知数であるため、さらなる変化が生じる可能性があり、その点も軽視できない」

 また、ピレリはWRC2に参戦する他の4輪駆動ラリーカーにも740本のタイヤを供給する。WRC2のグラベルタイヤのスコーピオンKは、ハードとソフトのコンパウンドをもち、それぞれのドライバーにはソフトコンパウンドのK6Bが22本、ハードコンパウンドK4Bが8本が割り当てられ、そのうち最大で26本が使用可能となる。トップカテゴリーと同様にシェイクダウンの前にいずれかのコンパウンドでさらに4本のタイヤを追加することが可能となる。