ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第5戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは激しいトップ争いとなったレグ1を終えてアンドレア・クルニョーラ(シトロエンC3 Rally2)がリード、シモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が0.7秒差の2位で続く緊迫した戦いとなっている。
ラリー・ディ・ローマは金曜日の夕方にローマのコロッセオ・スーパースペシャルステージで開幕、このSS1は併催されるイタリア選手権ではパワーステージとしてボーナスポイントが加算されることもあって、クルニョーラがイタリア王者にふさわしいパフォーマンスでトップタイムを奪って発進、初日をリードすることになった。
土曜日にレグ1が再開するとともに速さをみせたのは、前夜のスーパーSSで0.8秒差の2番手につけたスロベニアのボスティアン・アヴベリ(シュコダ・ファビアRS Rally2)だ。イタリア選手権のレギュラーメンバーとして上位を争う彼は、土曜日のオープニングステージのSS2アラトゥリでERCではキャリア初となるベストタイムを奪い、ラリーリーダーに0.1秒差に迫ることになった。
しかし、アヴベリは続く28.74kmのSS3サントパドレで後退、クルニョーラがベストタイムを奪い、2番手タイムのテンペスティーニが4.9秒差の2位に浮上する。
クルニョーラはSS4のグアルチーノ〜アルティピアーニでも連続してベストタイムを奪ってテンペスティーニに11.2秒のリードを築いて朝のループを終えたものの、午後のループはテンペスティーニが猛反撃を開始、SS5で初のベストタイムを奪って9.4秒差まで迫るや、28.74kmのサントパドレの2回目の走行となるSS6でも連続してベストタイム、クルニョーラに1.7秒差をつけて首位に立つことになった。
クルニョーラは昨年ローマで初優勝を飾るまで、過去、何度もここでは速さをみせながらも運に見放されてきた経験をもち、なかでも2019年と2021年にはパンクで勝利を失っており、かきだされた岩がアスファルト路面を覆うこのステージでは慎重になったと認めている。「考えすぎると運転が乱れるし、路上の岩に気をつけすぎた。パンクは避けられたし、それがこのステージでの最初の目標だった」
それでもクルニョーラは最終ステージのグアルチーノ〜アルティピアーニではライバルを2.4秒上回り、0.7秒差をつけてトップでレグ1を終えることになった。「もっとできることがあるのは確かだが、そういうものだ。付け加えることは何もない。イタリア選手権のためにいい仕事ができている。明日はかなり厳しい戦いになると思う」
テンペスティーニはトップを奪われたとはいえ、ここまでの自身のパフォーマンスには満足している。「どのステージも楽しめたし、いい1日だった。このクルマでターマックを走るのは初めてだし、昨年のバルム・チェコ以来、Rally2マシンでターマックを走ることはなかったからね」
スウェーデンでの転倒とエストニアでの苦戦から自信を取り戻したマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRS Rally2)は、午後のループに向けてペースノートの微調整とセットアップを改善したことでペースを上げ、5番手から3番手に浮上、トップから4.9秒差につけている。
最終ステージでのベストタイムでシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRS Rally2)はフランセスキの0.9秒後方の4位へと浮上しており、3位につけていたディフェンディングチャンピオンのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)は気温の上昇とともにペースを落とし、7.9秒差の5位でレグ1を終えている。「ブレーキングは問題なく、むしろタイヤが柔らかくなってスポンジーになってしまった。ベストを尽くしたが、これ以上のことはできないよ」
ポップオフバルブの問題に悩まされたマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)は8位、2度のERCチャンピオンであるジャンドメニッコ・バッソ(トヨタGRヤリスRally2)はパンクのため11位にとどまり、発熱に苦しめられたエリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)は16位にとどまっている。
ラリー・ディ・ローマの最終日の日曜日は6SS/93.66kmが残されている。