シトロエン・レーシングから2024年のWRC2に参戦することが決まったニコライ・グリアジンは初めてシトロエンC3 Rally2をドライブしたにもかかわらず、雪と氷のウィンターラリー、ラリー・デュ・デヴォリュイで3年連続勝利を飾ることになった。
ラリー・デュ・デヴォリュイは、フレンチアルプスの雪と氷のステージを舞台に行われるため、多くのドライバーとチームが例年、WRC開幕戦のラリー・モンテカルロのためのウォームアップとして利用してきた。シトロエン・レーシングは、ヨアン・ロッセルとグリアジンというラインナップで2024年のWRC2に参戦することを発表してわずか数日後、二人をこのイベントに出場させることになった。
これまでシトロエン・レーシングのWRC2プログラムは、PHスポールが担っていたが、来季からは新たにベネルクスにおけるシトロエンのディストリビューターであるDGスポーツがオール・エクスクルーシブ・カー(AEC)と提携し、シトロエン・レーシングの公式チームとなるため、彼らにとっても新しいチャレンジのスタートとなる。
スタート前から、「クルマのフィーリングは良いし、ここではアタックするつもりだ」と語っていたグリアジンは、ニューマシンのデビュー戦だったにもかかわらず、土曜日の雨だけでなく、雪や凍結したトリッキーなセクションも難なくこなし、10ステージのうち9ステージでトップタイムを奪って、ロッセルに1分28秒差をつけて勝利を奪った。
「僕たちにとって、新しい時代の素晴らしいスタートになった。この勝利は、多くの理由から僕たちにとって重要だった。この素晴らしい機会を与えてくれたシトロエン・レーシングに改めて感謝したいし、彼らが正しかったことを証明するために全力を尽くすことを約束する。C3は扱いやすく、速く運転する方法をスムーズに学ぶことができた。ラリー・モンテカルロが待ちきれないよ」
2人のチームメイトの対決は1カ月後のラリー・モンテカルロでも興味深いものになりそうだ。ロッセルは、雨とシャーベットスノーが待ち受ける土曜日のナイトステージでドライタイヤを装着してスタート、2つのステージで1分近く遅れてしまったが、モンテカルロに向けた完全なテストとして集中していたのだろう。彼は自分の週末に満足していた。
「興味深い天候の中でテストを続けてきた。少しペースが足りないところもあったけれど、このようなコンディションでとてもポジティブな経験を得られた」
ラリー・デュ・デヴォリュイをモンテカルロの準備としてスタートラインに立ったのは彼らだけではない。
新しいGRヤリスRally2を来年のモンテカルロでデビューさせる計画のトヨタは、このマシンをラリー・デュ・デヴォリュイのゼロカーとしてデビューさせており、来季のWRC2に参戦することになると見られるサミ・パヤリにそのステアリングを委ねて、本番に向けた経験値を積み重ねさせている。
また、ラリー・デュ・デヴォリュイのゼロカーとしては、ヒョンデ・モータースポーツがサプライズでオイット・タナクをヒョンデi20 N Rally1で出場させる計画をもっていたようだが、残念ながらこの秘密の作戦は失敗に終わったようだ。