WRC2025/05/06

サウジアラビアで危険な逆走車問題が発生

(c)Rally Saudi Arabia

 サウジアラビアで先週末に開催されたWRCキャンディデート(候補)ラリーで、ラリーカーがコースを逆走して後続のマシンと正面衝突しそうになるという重大事態が発生していたことが明らかとなった。

 サウジアラビアは今年の11月にWRCの初開催地となる。昨年夏、サウジアラビアは10年にわたってWRCを開催するという異例ともいえる契約を締結した。これはWRCのプロモーション会社にとって史上最高額の契約と報じられているが、さらに異例だったのは、この契約はサウジアラビアでWRC候補ラリーが開催される前だったことだ。

 サウジアラビアでのWRC候補ラリーは、サウジアラビアが中東ラリー選手権のラウンドを開催した先週末にようやく開催された。FIAとWRCプロモーターの担当者が運営状況を監視するなかで行われたこのイベントについいて、主催者はイベントがスムーズに進行したとの公式声明を発表したことで、メディアは11月のWRC開催に向けた準備が整ったと報じている。しかし、ラリーにけっして問題がなかったわけでなかった。

 スチュワードの報告によると、レバノン人ドライバーのバセル・アブ-ハムダンが、SS11アスファン・ステージの4.37km地点でスピンしたあと1.65kmも逆走、2.35km地点で後続のマシンとの正面衝突しそうになったという。スチュワードの報告書によると、アブ-ハムダンは定められた走行方向に逆らって長距離を走行、他の選手の命を危険にさらす状況を作り出したとして3000ユーロの罰金(うち2000ユーロは執行猶予付き)を課されている。

 しかし、問題はドライバーがたとえこのような無謀な運転をしたことではなく、なぜ、コースマーシャルが逆走車両の存在を直ちに通報しなかったのか、なぜラリーコントロールがステージ上の全車両を停止させなかったのかだ。

 このように選手の命を危険にさらす状況がなぜ生じたのか、主催者の安全プロトコルへの疑いが生じており、こうした問題を防ぐための迅速な行動がとられるよう改善を求める声が高まっている。

 ラリー・サウジアラビアは11月27〜30日に開催される予定だ。