ERC2023/05/22

セスクス、高速ポーランドでERC2勝目を飾る

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第3戦ラリー・ポーランドは21日に最終レグを迎え、チームMRFタイヤのマルティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)が圧巻のペースでリードを広げ、ヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)に39.6秒差をつけてERCで自身2度目の優勝を飾ることになった。

 セスクスとパッドンは金曜日の朝からバトルを繰り広げ、1.4秒という僅差ながらも元WRCドライバーのパッドンがリードして最初のループを終えることになった。しかし、昨年のラリー・リエパーヤの勝者であるセスクスは、轍が刻まれて難しいコンディションとなった午後のループになると一段と強烈な速さをみせて3ステージ連続してトップタイムを奪い、パッドンに8.2秒差をつけてトップで最終日を迎えることになった。

 そして迎えた最終日、パッドンは、日曜日の最初のステージを制し、首位のセスクスに7.4秒へとわずかに詰め寄ることになったが、そのあと何かのトラブルを思わせるかのようにややペースを落とし、朝のループを終えてトップのセスクスからは19.2秒遅れとなってしまう。

 パッドンは朝のループのあと、最初のステージでタイヤが1本パンク、スペアを1本しかもたなかったため、セスクスの追撃を諦め、2位とチャンピオンシップポイントを獲得することに集中したと明かしている。「残念ながら最初のステージの終盤でパンクしてしまい、そこからは2位を目指すしかなかった。戦いはここまでだ。素晴らしい仕事をしたマルティンシュに敬意を表したい」

 セスクスは午後になるとややペースを落としながら勝利のフィニッシュを目指すことになったが、パッドンはさらにペースを落とし、パワーステージのためにタイヤを温存する戦略で臨み、ブレーキやスライドを抑えてステージをこなしていく。だが、パッドンはSS14で轍のなかの穴で右フロントタイヤをリム落ちさせてしまい、スペアを1本しかもたなかったためパワーステージでも無理することができなくなってしまった。

 パワーステージでも無理をすることなく走り切ったセスクスは、最終的にパッドンに39.6秒差をつけて母国ラウンド以外で初めてのERC勝利を飾ることになった。

「ここポーランドで、リエパーヤのための素晴らしい練習ができるのはうれしいことだ」とセスクスは語った。彼の視線はすでに6月のラリー・リエパーヤでの勝利を守ることに向かっているようだ。

「もちろん、その前にハードワークがあるが、僕らにスピードがあるとわかったことは良い兆候だよ」

 パッドンは2位を守るためにパワーステージでもパンクをしないように走ることを重視したが、それでも3番手タイムで3ポイントのボーナスを加算、選手権ランキングのトップを維持、2位で並んだセスクスとマッズ・オストベルグに37ポイントの差をつけることになった。

 2年連続勝利を狙ったミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)は、金曜日夜に行われたSS1ミコワイキ・アリーナのスーパーSSでトップに立ったものの、土曜日の朝にスピンしたあとディッチでストップ、10位まで後退したことでトップ争いから脱落したが、それがなくてもセスクスとパッドンのハイペースには及ばず、勝利には届かなかっただろうが、それでも3位まで挽回して地元ポーランドで表彰台を達成している。

 4位は、2021年のWRC2チャンピオンであるオストベルグ(シトロエンC3 Rally2)とヒョンデ・ジュニアドライバーのジョシュ・マクアーリン(ヒョンデi20 N Rally2)による激しいバトルとなった。マクアーリンは、1.5秒差を付けて迎えた最終日、じわじわと詰め寄ったオストベルグのプレッシャーに耐え、朝のループの最後のステージで1.3秒差をつけられてパスされたあとも猛プッシュを続けたが、SS13の轍が刻まれたコーナーで惜しくもスピンしてしまう。これで仕事が楽になったオストベルグがパワーステージを制するとともに4位でフィニッシュすることになった。

 スピンで20秒近くを失ったマクアーリンは、最終日のベストタイムを奪ってオストベルグの数秒差まで迫っていたフィンランド・チャンピオンのミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)とフランス・グラベル・チャンピオンのマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRally2エボ)にも5位と6位を譲り、最終的には7位でフィニッシュすることになった

「スピンのせいで4位争いに大きく影響したが、最後までやり遂げようとしたんだ。この週末は自分たちのスピードが発揮できたと思うし、今後につながるペースをみせることができたと思う」とマクアーリンはふり返っている。

 シモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が8位、エリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)がERC王者のエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)を抑えて9位でフィニッシュしている。

 また、ラリー・ポーランドでは、ルノー・クリオRally3が国際デビューを果たし、フォード・フィエスタRally3エボとERC3カテゴリーで初対戦を果たした。しかし、クリオを駆ったパウロ・ソリアは土曜日に横転、ジョン・アームストロングが前戦のラリー・イスラス・カナリアスに続いてフィエスタRally3エボに2戦連続の勝利をもたらしている。

 トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかる(ルノー・クリオRally4)は最終日に5位にポジションを落としたあと2つのベストタイムで4位を奪い返してフィニッシュしている。

 また、土曜日に切り株にヒットしてしまいデイリタイアとなった大竹直生(ルノー・クリオRally4)は最終日にリスタートしたあと2つのステージでトップタイムを奪うもSS13でストップ、そして木曜日の駆動系のトラブルで遅れた山本雄紀(ルノー・クリオRally4)も土曜日以降6つのトップタイムを刻んで15位まで追い上げていたが、彼もまたSS13でリタイアとなっている。

 ERC次戦は、6月17〜18日にラトビアで開催されるラリー・リエパーヤとなる。