WRC2023/02/07

ソッドゼロアイスには20mmのスタッドが384本

(c)Pirelli

 ピレリは、世界ラリー選手権で唯一のスノーイベントとして行われるラリー・スウェーデンで、フルスノーイベント専用のスタッドタイヤ、ソットゼロ・アイスJ1Bを供給する。スウェーデンではRally1 と Rally2 のドライバーが使用できるタイヤはこの1種類のみとなる。

 ラリー・スウェーデンは昨年から雪を求めて北部のウーメオで開催されているが、意外にも暖かい週末になると言われており、夜中にはマイナス7度まで冷え込むものの日中の最高気温はマイナス2度程度であり、最も暖かい最終日は日中では2度まで上昇すると見られている。

 ウーメオ周辺の道路には十分な雪と氷があるとの報告もあるが、気温の上昇によって雪が融ける可能性は高く、道路の表面は雪に覆われていても、圧雪されて十分に凍結してなければ走行によってグラベルが露出することになる。

 スウェーデン専用のソットゼロ・アイスJ1Bは、特殊なスタッドによってアイス路面では卓越したグリップをもたらすが、凍結したグラベルではスタッドが脱落するリスクが高くなるため、スタッドのマネージメントが重要になる。

 ラリー・スウェーデンでRally1とRally2のマシンが使用するのは384本ものスタッドが組み込まれた非対称パターンを持つソットゼロ・アイスJ1Bだ。スタッドの全長は最大20mm、自由な突起を持つ1種類のスタッドのみ使用が許されるとレギュレーションで規定されており、それぞれのスタッドはトレッドから7mm突出している。スタッドは、完成したタイヤに後から打ち込まれるのではなく、タイヤ製造過程における成形のあとの加硫プロセスの段階で組み込まれるピレリが特許を持つ独自の製法によって固定されている。

 スウェーデンで使用できるタイヤ本数は、Rally1のドライバーは1人あたり28本、Rally2のドライバーは24本まで使用することができる。いずれもシェイクダウンで使用するタイヤに制限はなく、競技での割り当てには含まれていない。

 Rally3マシンで行われるジュニアWRCでは、20ミリのスタッドやピレリ独自の加硫製法技術など、J1Bと共通した特徴を持つソットゼロ・アイスWJAを使用、シェイクダウンを含め、最大22本のタイヤを使用することができる。

 スウェーデンの路面コンディションが理想的なものではない可能性があるようだが、ピレリのラリー・アクティビティ・マネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニは、氷があろうとなかろうと、ドライバーを待ち受ける試練は厳しく、与えられた条件下でベストを尽くし、状況に適応する術を知る者が成功を収めるだろうと語っている。

「昨年のロケーションであるウーメオでは、予想以上に氷の状態が悪く、レース中も何度か驚くシーンがあった。我々の特殊な加硫加工は、気温がより穏やかでグラベルが露出しているときでもスタッドを保つことができ、ほぼ100%のスタッド保持が可能であったことが証明された」

「今年は、典型的な北部の冬とは違うようだが、昨年とはコンディションが異なることを願っている。結局のところ、スウェーデンだけでなく、ヨーロッパはどこも雪がほとんどない。いずれにせよ、ドライバーたちがすべてのウィンターコンディションに適したタイヤで競うことは確かだ」