WRC2022/05/27

ソルド、「タカは自分を誇っていい」

(c)WRC Promoter

 ラリー・デ・ポルトガルの最終ステージで勝田貴元を破って表彰台を獲得したダニエル・ソルドは、落胆したとしか言いようがないような表情を浮かべる勝田を激励し、そのパフォーマンスへ最大の賛辞を贈っている。

 勝田は土曜日のSS12アマランテ・ステージでソルドを抜いて3位をキープしていたが、最終日にソルドが猛烈な勢いでプッシュ、ステージごとにコンマ数秒ずつ刻みながら追い詰めることになった。勝田はベテランのすさまじい猛攻から逃げ切るかに見えたが、最後のファフェ・パワーステージで2.1秒差でソルドの逆転を許し、惜しくもWRCヨーロッパ・ラウンド初の表彰台はならなかった。

 勝田はゴール地点で、先に走ったソルドに抜かれたことを知って、ヘルメットを脱ぐことも忘れて呆然としていたが、GRヤリスに駆け寄ってきたソルドは勝田の頭を両手でつかんで涙ぐむ彼の瞳に向かって大事なことを囁いている。

「タカは自分を誇りに思っていい。友よ、悲しむことはない、君はいつかたくさんの表彰台を得るだろう」と、ソルドは話しかけるや、ヘルメットを叩いてライバルの健闘を讃えている。

 トヨタGAZOOレーシングWRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラも、勝田の素晴らしいパフォーマンスを讃えるとともに、昨シーズンの後半に見舞われていた不振から抜け出して新たな成長のステージを迎えたと語っている。

「タカのドライビングは悪くなかった。パワーステージでのタイムもとても良かったが、ダニはもっとパフォーマンスを上げていた。こういうことが起こり得るのがモータースポーツだが、彼は誇って良いし、我々も彼のパフォーマンスを誇りに思っている」と、ラトバラは語った。

「タカは昨年、素晴らしい仕事をしたあと、シーズン後半はアクシデントでひどく自信をなくしていた。しかし、その後、彼はすべての流れを取り戻して、再びパフォーマンスを引き上げ、今では自信を伸ばしていると思う。トップレベルに戻ってきたし、次は表彰台を獲得するだろう」

 もちろん勝田はポルトガルの結果には満足していないものの、当然ながらこの敗北から多くのものが得られたと語っている。

「もちろん最終ステージについては自分自身にがっかりしている。もっと良いポイントを得られるはずだったのに、僕は十分ではなかった。ダニは最終ステージでとても速かった。僕はそのステージで十分な力を発揮できなかった」

「非常に残念だけれど、この気持ちが自分をさらに強くしてくれるので、顔を上げて前に進んでいこうと思う」