ラリー・ジャパンの最終日の朝、オイット・タナクは悲惨なクラッシュでリタイアすることになった。この瞬間、ワールドチャンピオンはチームメイトのティエリー・ヌーヴィルのものとなったわけだが、タナクは自身のタイトルの可能性が消えたことではなく、チームの選手権を台無しにしてしまったことに打ちのめされている。
タナクは最終日の朝、ヌカタ・ステージの終盤に付け加えられた新しいセクションにある泥のでたトリッキーな右コーナーでアンダーステアを出してクラッシュ、リタイアを余儀なくされた。
タナクは土曜日をトップで終えて、暫定で18ポイントを獲得していたが、彼が最終日にスーパーサンデーとパワーステージでパーフェクトな勝利を収めたとしても選手権リーダーのティエリー・ヌーヴィルはあと2ポイントさえ獲得すればチャンピオンになれる状況だった。
それだけに、タナクは土曜日の夜、自身のワールドチャンピオンがただの可能性の一つにすぎないことを認めるとともに、「トヨタは強いので、最終日はチームにタイトルを持ち帰るには全力を尽くさねばならない」と語り、マニュファクチャラーズ選手権の獲得を最優先に走ると決意を述べていた。
タナクのリタイアによって彼が土曜日に獲得したポイントは失われ、ヒョンデとトヨタは同ポイントでパワーステージを迎えることになり、ヒョンデはわずか3ポイントの差でトヨタにマニュファクチャラータイトルを奪われることになってしまった。
「これは本当の災難で、言い表す言葉がないこと辛いよ」とタナクはRallyTVのインタビューに対して落胆した様子で語った。
「どういうわけか、このコーナーで滑りやすいコンディションになっているとは思っていなかったが、コーナーに入った途端にフロントが滑り出し、明らかに回復できないほど路面から外れてしまった」
タナクは自身のアクシデントがヒョンデのマニュファクチャラー・タイトルに致命的なダメージを与えたことについて立ち上がれないほどのショックだったと認めた。
「正直に言うと、これは完全な失敗で、起こるべきではなかった。(チームのタイトルを)完全に台無しにしてしまった。しばらく立ち上がることができないほど打ちのめされたよ」とタナクはアクシデントの直後をふりかえった。
「それでもティエリー(・ヌーヴィル)にとって素晴らしいシーズンであることは間違いない。非常に安定していて、彼らは非常に一貫していて、プレッシャーをうまく管理していて、彼らは価値のあるチャンピオンことははっきりとしている」
タナクがクラッシュしたコーナーでは、後続のヘイッキ・コヴァライネンも同じようにアクシデントに見舞われ、彼のシュコダは転落した際にタナクのマシンのボンネットを激しく押しつぶしている。幸いなことにタナクはマシンを離れており無事であり、ドアを開けてコクピットで撤収の準備を行っていたコドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤも、異変を感じてすばやくクルマから離れたためケガなどはしなかった。