WRC2022/09/29

タナク、ニュージーランドの開幕ステージでリード

(c)Hyundai

(c)Toyota

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 2022年世界ラリー選手権(WRC)第11戦ラリー・ニュージーランドは木曜日夜のスーパーSSで開幕、ヒョンデ・モータースポーツのオイット・タナク(ヒョンデi20 N Rally1)がトップタイムをマーク、クレイグ・ブリーン(フォード・プーマRally1)を0.9秒抑えてオープニングステージをリードした。

 オークランド市中心部にある美しい公園であるプケカウ・オークランド・ドメインの美術館前で行われたセレモニアルスタートでは、10年ぶりにニュージーランドを訪れたWRCのトップドライバーたちをマオリ族によるエネルギッシュなハカで歓迎し、ラリーは公園エリアのターマックステージで行われるプケカウ・オークランド・ドメイン・スーパーSS(1.78km)で開幕することになった。

 ステージはスタート前の雨によってウェットコンディションとなり、滑りやすく危険なスタートとなったが、WRC2の主要メンバーに続いてトップドライバーが選手権ランキングのリバース順にスタートすることには路面は乾き始め、タイムは走るたびに大きく向上することになった。

 15番手でコースを走ったタナクは、力強い走りでそれまで暫定トップタイムだったブリーンを抜いてトップタイムをマークすることになったが、3度のドーナツターンを含んだ開幕のターマック・ステージがまったく楽しいものではなかったと酷評した。

「このドーナツはピエロのショーのようで、目が回って道がどこに進んでいるのかさっぱりわからなかった。実際、あまり楽しくなかった!」と、語ったタナクは、ロヴァンペラとのタイトル争いがどうなるか週末の計画を聞かれ、「(チャンピオン争いは)僕たちの手の内にはないし、関係ないことだ」と関心なさそうにコメントした。

 タナクから1.6秒差、ブリーンからは0.7秒差の3番手タイムにはティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)が続き、勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)がトヨタ勢では最速となるトップから2秒遅れの4番手タイムで続いている。「レッキではグリップが良く、マシンもよく動いていると思う。ベストを尽くしてステージを楽しむだけだ」と勝田は意気込みを語ってる。

 5番手にはエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)、6番手には選手権リーダーのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)が続いている。エヴァンスは丸1年にわたって勝利から遠ざかっているが、ニュージーランドのステージは勝利に挑むためには最高の舞台だと語っている。「これらの道路は本当にドライバーのためのステージだと思う。明日のスタートが楽しみだよ」

 一方、ロヴァンペラはこの週末、タナクとの差を61ポイントに広げることができれば史上最年少のワールドチャンピオンに輝くことになるが、このオープニングステージでは3つのドーナツターンのうち最初のドーナツで1回少ない回数で駆け抜けようとして慌ててブレーキ、最後のターンは大回りになってしまい2.6秒をロス、6位でのスタートとなっている。

「くそっ!ミスしてしまったよ。もちろん、プレッシャーは常にあるけれど、今週末はいい仕事がしたい。もちろん、そこには常にプレッシャーがつきまとうが、今週末はいい仕事ができるよう頑張りたい」

 ロヴァンペラの0.3秒後方の7位にはガス・グリーンスミス(フォード・プーマRally1)、まだ路面がそれほど乾いてないコンディションのときに走ったセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)はさらに1.6秒遅れた8位に付けている。

 WRC2では、地元のヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)が母国のヒーローとして最初のコースインする栄誉に与ったが、その代わりにもっとも濡れた路面コンディションに苦しむことになった。それでもニュージーランドのWRC復帰を待ち望んできた彼は貫禄の走りをみせてWRC2のトップに付けることになった。「路面がウェットのため滑りやすくなってしまったのは残念だよ。でも、こんなにたくさんの人が来てくれて、最高のステージだよ。明日はもっと多くの人が来てくれることを期待している」

 WRC2タイトルを獲得するためにニュージーランドまで遠征してきたカイエタン・カイエタノヴィッチ(シュコダ・ファビアRally2エボ)にとっては波乱のスタートになった。彼は右フロントのドライブシャフトを破損、6.5秒をロスすることになってしまったが、幸いにも今夜は15分のサービスが設定されているため、リフレッシュして明日の金曜日に向かうことが期待されている。

「ちょっとトラブルがあった。サービスに行って、明日に備えよう。これが現実なんだ」とカイエタノヴィッチは自らを奮い立たせるように語っていた。

 明日の金曜日は、モーニングサービスなしでワイカトに向かい、ラリー全体の57%の距離を走る6SS/158.56kmという最長の一日となる。WRCでもっとも美しいステージの1つに数えられるオープニングステージのフアンガ・コーストは現地時間8時33分(日本時間4時33分)のスタートとなる。