2024年世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・ポーランドが木曜日の夕方に行われたミコワイキ・アリーナのスーパーSSで開幕、オイット・タナク(ヒョンデi20 N Rally1)が1分42.5秒のベストタイムを奪ってラリーをリード、チームメイトのティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)が1秒差の2番手タイムで続き、ヒョンデ・モータースポーツが1-2態勢を築いた。
7年ぶりにWRC開催となるラリー・ポーランドは、これまたかつての伝統に従って2台併走のミコワイキ・アリーナのスーパーSSでラリーのスタートを迎えることになり、シェイクダウンでも最速タイムを叩きだしたタナクがここでも速さをみせてラリーをリードすることになった。
タナクは過去2度、ポーランドをリードして最終日を迎えたが、いずれも不運な出来事で優勝を逃している。キャリア初優勝のチャンスがあった2016年は最終ステージを前にしてのパンクに涙することになり、その一年後の2017年、待望のWRC初優勝を飾ったラリー・イタリア・サルディニアの直後のポーランドでも最終日を首位で迎えたが、サスペンションを壊して勝てなかった。
選手権2位につけるタナクは今度こそ、ここで優勝を決めたいという思いもあるのだろう。「このステージは楽しいし、道も楽しい。でも、決して明日以降は簡単な道ではない。すべてに全力で行く必要がある」と彼は決意を述べている。
1秒差の2位につけた選手権リーダーのヌーヴィルは、ダスティで滑りやすいステージでコースオープナーを務める金曜日は、間違いなくクレイジーな一日になるだろうと語っていた。「一番手で明日の道を走るのは簡単ではないだろう。しかし、それが僕らが立ち向かわなければならないチャレンジだ。どうなるか、楽しめるといいけど、間違いなくクレイジーになるだろうね」
トップから1.3秒差の3位につけるのはエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)、さらに0.3秒遅れの4位には勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)が続いている。「サプライズはたくさんあるけれど、ベストを尽くしてできるだけフロントをキープしたい。2回目のステージのコンディションをマネージメントするのは大きなチャレンジになるけれど、たくさん楽しめるようにするよ」
勝田から0.2秒遅れの5位につけるのは2016年にラリー・ポーランドで優勝を飾っているアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 N Rally1)、6位にはアドリアン・フールモー(フォード・プーマRally1)がつけている。
チームメイトのセバスチャン・オジエがレッキ中の事故で出場を中止したためえ、急遽、ラリーをスタートすることになったカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)はトップから2.1秒遅れの7位と出遅れることになった。
ロヴァンペラはステージエンドで優勝を狙えるかどうか聞かれ、それが厳しいチャレンジであることを認めている。「(優勝は)あり得ないと思うけど、それが現実だ。超腹立たしいスタートだよ。良いフィニッシュをするためにここに来たのに、勝利に挑まないのは良くない。今回は勝つことを目指さないし、意味がない。何もかもが遅すぎたんだ」。
ロヴァンペラはこのSS1を走る直前まで残されたステージのレッキを行っていたため、このあと明日に向けてビデオを観ながら膨大な量のペースノートを整理する必要がある。「このあとも超長い夜が待っているから、簡単にはいかないよ」
グレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマRally1)は7位だったが、 併走したマシンが跳ね上げた石でフロントガラスを破損したため憤っていた。この夜もサービスはなく、明日もノーサービスで113kmという長い一日をこのまま走らなければならない。「水を撒くというなら、ちゃんと撒くべきだ。マシンには弾丸が飛んでくるんだ。僕のフロントガラスは完全には傷んでいないけど、明日大きな衝撃を受けたら、もっとひどくなるだろうね。愚かなことだ」
WRCのトップカテゴリーデビューを飾ったマルティンシュ・セスクス(フォード・プーマRally1)は、ハイブリッド・ユニットの代わりに100kgのバラストを積んだマシンを駆っており、ここでは3.7秒遅れの9番手にとどまった。それでも彼は満面の笑みで素晴らしいステージだったと語っている。「僕たちはデビューしたんだ!いつものように滑りやすかったけど、大丈夫だった!」
28日金曜日はミッドデイサービスが設けられず、オレツコのタイヤフィッティングゾーンを挟んで7SS/113.50kmを走る試練の1日となる。オープニングステージのスタンチキは現地の8時45分、日本時間15時45分のスタートが予定される。