WORLDWIDE2022/04/04

ネイションズ国別対抗戦、ヨーロッパが逆転勝利

(c)Rally of Nations Guanajuato

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 メキシコで開催されたラリー・オブ・ネイションズ・グアナファトでは、マッズ・オストベルグが圧倒的な強さを見せて16ステージのうち14ステージを制して個人戦で優勝を飾ったものの、国別対抗戦ではチーム・ノルウェーは不運のため惜しくも優勝を逃し、チーム・ヨーロッパが逆転勝利を収めている。

 オストベルグがメキシコに参戦するのは2016年以来のことだ。シュコダ・ファビアR5というあまり知らないマシンを駆り、コドライバーもヨハン・ヨハンソンが初めて務めるという不慣れな条件ながら、彼は金曜日にグアナファト市街地のスーパーSSからラリーをリード、本格的に競技がスタートした土曜日もオタテスやグアナファティートなどのクラシックステージを勝利し、Mスポーツ・フォードのアドリアン・フールモー(フォード・フィエスタRally2)に1分7秒差をつけることになった。

 しかし、ラリー・オブ・ネイションズ・グアナファトのメインカテゴリーは個人戦ではなく、国別対抗のチーム戦だ。各ステージの順位に応じて国別チームにポイントが与えられ、マシン仕様の違いは係数で調整されるため、パワーに優るマシンがけっして有利というわけではない。オストベルグのチームメイトのエイヴィンド・ブリニルドセンは、三菱ランサーエボリューションを駆ってRally2カー勢に食い込む速さをみせて総合4位で続いており、この健闘も合わさって、チーム・ノルウェーは日曜日の5ステージを残してライバルに131ポイントという大差をつけてリードすることになった。

 しかし、確実と思われたチーム・ノルウェーの優勢は、日曜日の朝、ブリニルドセンのマシンがパルクフェルメからスタートできずリタイアとなったことによって、陰りが生まれた。

 ブリニルドセンは次のように語った。「マシンがスロースタートすることは昨日も何度かあったが、今朝は何も動かなかった。ただアイドリングするだけだった。急いでサービスにいれたけど、出来ることは何もなかった。どうやらコンプレッションが動いていないようだ。本当に残念だ。僕たちはマッズの走りを眺めることしかできない」

 ブリニルドセンのリタイアによって、最終日、じわじわとノルウェーに迫ってきたのは、チーム・ヨーロッパのセバスチャン・バルブ(ルノー・クリオRally5)とニコラウス・シェール(フォード・フィエスタR2)だ。二人とも前輪駆動のマシンでパワーはないが係数の恩恵を受けている。バルブは土曜日の最終ループをスタートできなかったが、チームワークを発揮して最終日にノルウェーを脅かすことになる。

 チーム・ヨーロッパはゴールまで2ステージを残して、長らくトップを走ってきたチーム・ノルウェーを追い抜き、最終的に735ポイントを獲得して国別対抗戦では表彰台の頂点に立つことになった。

 ノルウェーは629ポイントに終わりネイションズでの優勝は叶わなかったものの、オストベルグは個人戦では優勝を飾ることになった。それでも最後までドラマが続くことになり、彼はゴール目前でひやりとすることになった。

 オストベルグは最終日、コースオープナーのハンデを抱えながらもベストタイムを重ねて、2位のフールモーに対するリードを1分54秒へと拡大して最終ステージを迎えたが、パンクにより1分48秒のタイムロスを喫し、わずか5.8秒という僅差で逃げ切って優勝を飾っている。

「とても楽しかったよ。もちろん、ノルウェーのために勝つことができればよかったんだけど、エイヴィンド(・ブリニルドセン)のトラブルで厳しい戦いになることは目に見えていた。でも僕にとっては、ここに来てこれだけ多くのステージで勝って、世界選手権に参戦しているアドリアン(・フールモー)を破ることができたことは良かったよ」

 フールモーが個人戦の総合2位でフィニッシュ、1994年のワールドチャンピオンであるディディエ・オリオールがチーム・フランスのチームメイトとなるはずだったが、スタート前日に個人的な事情によってスタートを取り止めたため、代わりに地元のフェリペ・スバーヴィル(三菱ランサーエボリューション)とのコンビだったが、ネイションズでは504ポイントで3位となっている。

 アジア勢で唯一のチーム・ジャパンも残念な結果に終わった。新井大輝(スバル・インプレッサWRX)がオーバーヒートのためにSS3でマシンストップ、石井宏尚(フォード・フィエスタR2)も左フロントサスペンションを破損し、SS4以降に進むことができなかった。

 マシュー・ウィルソン(フォード・フィエスタRally2)は序盤にパンクで遅れたために個人戦では4位、チーム・イギリスはネイションズでは8位となっている。

 20年前のラリー・メキシコの覇者であるハッリ・ロヴァンペラ(シトロエンDS3 R5)は土曜日にワイドになってリヤバンパーが外れるアクシデントに見舞われたが総合5位でフィニッシュ、チーム・フィンランドは10位となっている。

 地元メキシコからはネイションズに13チームがエントリー、メキシコを代表するドライバーのベニート・グエラ・ジュニア(シュコダ・ファビアR5)と彼の父グエラ・シニア(三菱ランサーエボリューション)はネイションズで4位につけていたが、グエラ・シニアのエンジントラブルのため7位に終わっている。