WRC2019/11/14

ヒュンダイ、初のマニュファクチャラー王座を祝う

(c)Hyundai

(c)Hyundai

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツは火曜日、コフスハーバーにおいてシャンパンファイトを行い、初のマニュファクチャラー選手権の王座獲得をチーム全員で祝った。

 ニューサウスウェールズ州の壊滅的な森林火災によって世界ラリー選手権の今季最終ラウンドのラリー・オーストラリアがキャンセルされたことで、ヒュンダイは2012年末のチーム創設以来、悲願となっていたマニュファクチャラー王座を最終戦を戦うことなく獲得することになった。

 ヒュンダイは2012年末に世界ラリー選手権に参戦するためのチームを創設、2013年春からアルゼナウのファクトリーを開設してオペレーションをスタートしている。

 ヒュンダイは1年にわたって参戦準備を行ったあと2014年のモンテカルロから参戦を開始、3戦目のメキシコでティエリー・ヌーヴィルがチームに初の表彰台となる3位のポディウムをもたらし、9戦目のドイツでヌーヴィルが初優勝、ダニエル・ソルドも2位で続き、チーム初勝利を1-2で祝うことになった。

 2015年にヒュンダイの勝利はなかったが、4回の表彰台によってマニュファクチャラー選手権は前年の4位から3位へと一歩前進することになった。

 2016年にはヘイデン・パッドンがアルゼンチンで優勝、サルディニアで優勝を飾ったヌーヴィルはドライバーズ選手権2位でシーズンを終え、2度のダブルポディウムを含む12回の表彰台によってヒュンダイはマニュファクチャラー選手権で2位へと躍進する。

 新世代WRカー元年となった2017年、ヌーヴィルがコルシカ、アルゼンチンでの2連勝を含むシーズン4勝を挙げてドライバーズ選手権2位、マニュファクチャラー選手権も2年連続となる2位と新時代をスタートする。

 2018年は3勝を挙げたヌーヴィルが最終戦までもつれたタイトル争いのすえに3年連続となるドライバーズ選手権2位となり、ヒュンダイは新興チームのトヨタに惜敗してマニュファクチャラー選手権でも3年連続の2位となっていた。

 そして迎えた2019年、ヒュンダイは新しいチーム代表に就任したアンドレア・アダモともに挑戦を開始、さらには9度のワールドチャンピオンであるセバスチャン・ローブをチームに招いて体制を強化してシーズンに臨むことになった。

 ヒュンダイは開幕戦モンテカルロでマニュファクチャラー選手権をリード、メキシコの敗北でトヨタに選手権のリードを奪われたものの、コルシカでヌーヴィルが今季初勝利を飾って選手権トップを奪回、ドイツではトヨタに1-2-3を許すなど危機的な状況もあったが、前戦スペインでチームにとって今季4度目の勝利をダブルポディウムとともに達成、宿敵トヨタに18ポイント差をつけて最終戦オーストラリアだけを残していた。

 しかし、ニューサウスウェールズ州の広域な森林火災で最終戦はキャンセル、ヌーヴィルはまたもタイトルを逃して4年連続・通算5回目となるドライバーズ選手権2位に終わったものの、ヒュンダイは参戦6年目にして初のマニュファクチャラー・タイトルを獲得することになった。

 宿敵トヨタが今季6勝を挙げたのに対して、ヒュンダイはヌーヴィルがコルシカ、アルゼンチン、スペインで3勝、ソルドがサルディニアで勝利を飾り、チームとしては4勝にとどまったが、イベントごとにドライバー布陣を入れ替える作戦で上位の順位を安定して獲得、表彰台は13回、トヨタの12回を上回った。

 ヒュンダイは最終戦オーストラリアに、シーズンをフルで戦ってきたヌーヴィルに加えてソルドを起用、さらに有利な出走順で上位進出が期待されたクレイグ・ブリーンの3台体制で挑む計画だった。

 コフスハーバーで最終戦のスタートを待っていたチームにとっては、キャンセルによるタイトル決定は複雑なものだったはずだが、長いシーズンを戦ってきたドライバーたちが悲願のタイトルを達成した喜びを語っている。

ヌーヴィル:「僕らにとって本当に特別なシーズンだったし、いまようやく僕らが世界選手権のタイトルを獲得したチームだと言えることがうれしい。素晴らしい成果だよ。これまでにはいろいろなことがあった。ひとつひとつの勝利は重要だったが、結果だけでなく、チームはこの6シーズンで本当に大きく成長した。僕らは、それぞれが献身的で才能があるプロフェッショナルな人間の集まる素晴らしいグループだった。このリザルトはチームのそれぞれ、その全てによるものだ」

ソルド:「僕とカルロス(・デル・バリオ)にとって、ヒュンダイとともにマニュファクチャラー・タイトルを制したことはとても重要なことだ。僕はこの6年間にわたってチームの一員であり、この目標を達成するために1年間懸命に取り組んできた。僕らチームはシーズンのほとんどで選手権をリードしてきたし、チーム全体にこのタイトルはふさわしいものだ。ヒュンダイのファミリーは、シーズンごとに成長してきた。そして、ついに初のタイトルを一緒に獲得できた。そのことを本当にうれしく思うよ!」

クレイグ・ブリーン:「チームが厳しい接戦を制してマニュファクチャラーズタイトルを獲得することができたことをうれしく思う。今年は、チームの全員がこの夢を実現しようと懸命に努力していることが明確だった。チームが非常に戦略的であり、さまざまなイベントでさまざまなドライバーを使用していたため、仕事をやり遂げることができた。その仕事の一部を僕らに任せてくれたチームに感謝したい」