WRC2017/09/30

ヤリスWRC、初のミックス路面スペインに挑む

(c)Toyota

 TOYOTA GAZOO Racingは、10月5日から8日にかけて開催される世界ラリー選手権(WRC)第11戦ラリー・デ・エスパーニャに、ヤリ-マティ・ラトバラ、ユホ・ハンニネン、エサペッカ・ラッピの3台体制でターマックとグラベルのミックスサーフェス・ラリーへ初めて挑む。

 今シーズン、ヤリスWRCはスノーラリーの第2戦ラリー・スウェーデンと、グラベルラリーの第9戦ラリー・フィンランドで優勝を果たした。また、8月に開催されたターマックラリーの第10戦ラリー・ドイチェランドでもベストタイムを記録するなど、様々な路面で着実にパフォーマンスを高めてきているが、第11戦ラリー・デ・エスパーニャは、ヤリスWRCにとって新たなる挑戦となる。

 ラリー・デ・エスパーニャはデイ1がグラベルステージとなり、残る2日間はターマックステージで構成されるからだ。デイ1に関してはグラベル仕様のクルマで走行し、タイヤやサスペンションもグラベル用となるが、その日の夜には通常よりも長い75分間のサービス時間が設けられ、ヤリスWRCはグラベル仕様からターマック仕様へと大幅変更され、デイ2以降を戦うことになる。つまり、ラリー・スペインはグラベルとターマックのふたつのラリーを連続して戦うような特殊な一戦であり、クルマには両方の路面での速さが求められる。

 ラリー・デ・エスパーニャのサービスパークは、スペイン北東部カタルニア地方のシーサイドリゾート、サロウに置かれる。グラベルのデイ1はサロウの西側エリアで6SSが行なわれ、SS3とその再走ステージとなるSS6はグラベル中心のコースながら、途中に比較的長いターマック区間を含む。

 ターマック初日のデイ2はサロウの東北部が戦いの中心となり、7つのスペシャルステージが行われる。1日の最後にはサロウの海岸近くでショートSSが行われる。そして競技最終日のデイ3は、サロウから比較的近い北側から西側にかけてのターマックステージで6SSが行われる。3日間で19SSを走行し、その合計距離は312.02km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1297.62kmとなる。

トミ・マキネン:「私がドライバーとしてスペインで戦ったのは、現在のようなミックスサーフェス・ラリーとなる前の時代です。私にとっては未知なるイベントなので、私個人として展望を多く述べることはできないが、ヤリ-マティはもちろんこのラリーのことを熟知している。グラベルとターマックというふたつの路面で走るために、他のラリー以上に多くの機材やパーツを用意する必要があり、エンジニアやメカニックの仕事量も格段に増えます。しかし、彼らはクルマがサービスに入った時にすべきことをきちんと把握しており、そのための準備も充分にできているはずだ。今季ここまで我々のクルマは着実に進化しており、今回、いくつか新しいパーツやアイデアを投じることで、クルマがさらに良くなることを期待している」

ヤリ-マティ・ラトバラ:「初日がグラベル、残る2日間がターマックという組み合わせは私のお気に入りだ。スペインの舗装路はまるでサーキットのようで、WRC最高のターマックSSだと思う。また、グラベルに関しても、とても良いSSが揃っている。スペインに向けては今週2日間テストを行なった。ターマックではサスペンションを、グラベルではディファレンシャルを集中的にテストした。我々のクルマはグラベルのフィンランドで勝つだけの速さがあり、ターマックのドイツでも高いパフォーマンスを示しているので、スペインでもきっと高い競争力を発揮できると信じている」

ユホ・ハンニネン:「事前のテストではドイツの時のようにクルマはとても良いフィーリングだった。本番でもドイツと同じようにラリーを戦う予定だ。私はしばらくこのラリーに出ていなかったので、ここ数年間同じコースを使い続けている金曜日のグラベルSSは私にとって大きなチャレンジとなる。ライバルと対等に戦うためには、かなり攻めて走る必要があるだろう。ただし、去年のように雨が降らない限りは、それほど大きな差はつかないのではないかと思う。ターマックの土曜日と日曜日に関しては、いくつか新しいSSがあるので、自分にとってはプラスになることを期待している」

エサペッカ・ラッピ:「グラベルとターマックが混合するスペインは、とても挑戦し甲斐があり、今季これまで自分たちが戦ってきた他のラリーとはタイプが完全に異なる。グラベルのSSはポルトガルと似ていて、ターマックのSSは非常にユニークで、世界でもっとも素晴らしいターマックステージだと思う。スペインのターマックはクリーンかつスムースで、フランスのコルシカ島の道ほどツイスティではなく、ドイツの道ほど幅が狭くないため、運転がとても楽しく、ラリーのスタートが待ちきれないよ。前戦のドイツは浮き沈みが激しいラリーになったが、最終的には競争力のある速さを得られたので、スペインでは両方の路面で良いパフォーマンスを発揮することができると思っている」