ERC2022/08/24

ヤレーナ、ERC新チャンピオンに決定

(c)ERC

 スペイン出身のエフレン・ヤレーナは、今週末のチェコ・ラリー・ズリーンのスタートを待たずに2022年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)のタイトルを獲得した。選手権の残されたライバルだったシモーネ・テンペスティーニが参戦を取りやめたからだ。

 全8戦で行われる今季のERCで、ヤレーナは第6戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレを終えた時点でテンペスティーニに58ポイントの差をつけていた。ERCの各ラウンドから得られる選手権ポイントは最大で35ポイントとなるため、残された2戦で獲得できる最大ポイントは70ポイントとなる。

 この二人に加えて、67ポイント差の3位につけていたニル・ソランスもタイトルのチャンスをもっていたが、彼はチェコ・ラリーにエントリーを行なっていなかったため、今週末はヤレーナとテンペスティーニのタイトルを賭けた戦いが繰り広げられる予定だった。

 しかし、テンペスティーニがスタート4日前になってチェコ・ラリーのエントリーを正式に取り消したことによって、最終戦のラリー・デ・エスパーニャの結果いかんに関係なくヤレーナの初のタイトルが確定、そしてコドライバーのサラ・フェルナンデスの2年連続コドライバーズタイトルが確定することになった。そして2020年からERCへの挑戦を開始したインドのMRFタイヤが、初のERCチャンピオンタイヤの栄誉に輝くことになった。

「言葉もない」とラレーナは語った。「4年前、ラリーチーム・スペインのカラーでERCに参戦した最初のクルーから始まったときからの夢だ。ERC3ジュニア選手権とERC3選手権を獲得し、そして今、総合タイトルを獲得することができ、本当にうれしいよ」

「今年はMRFにとって非常に重要な年だった。僕らはベストを尽くし、タイヤの開発に全力を注ぎました。エンジニア、チーム、関わってくれたすべての人が、素晴らしい仕事をしてくれた」。

 ヤレーナは開幕戦ラリー・セーハス・デ・ファフェでは12位でスタートすることになったが、第2戦のラリー・アソーレスでERC初優勝を飾ったことでシーズンの流れを引き寄せることになった。地元トップドライバーのリカルド・モウラが掴んでいた優勝を最終ステージで奪い取った逆転劇は今季のハイライトとも言えるものだった。

 同じくスペイン出身のソランスは、開幕戦と第3戦ラリー・イスラス・カナリアスで優勝し、タイトル争いの強敵になるかと思われたが、予算上の問題から欠場せざるを得なくなったこともヤレーナのタイトル争いにとっては追い風となった。

 ヤレーナはけっきょく第2戦での1勝にとどまったが、それ以降は2度の2位を含めて4戦ともに4位以内に入るという安定した成績がタイトル争いのカギを握ることになった。

「WRCプロモーターとFIA ERCを代表して、エフレン・ヤレーナとサラ・フェルナンデスの2022年チャンピオン獲得にお祝いを述べたい」とERCチャンピオンシップマネージャーのイアン・キャンベルは語った。

「彼らはシーズンを通して素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれた。さらに、この画期的なタイトルで歴史を作ったチームMRFタイヤにも祝福を送りたい」

 キャンベルは、ERCがテンペスティーニにチェコ・ラリー・ズリーンに出場するよう説得を試みたが、結局実を結ばなかったことを明らかにした。

「我々は、シモーネ・テンペスティーニの参戦を約束してもらうよう、あらゆるチャンスを積極的に追求した」とキャンベルは語った。

「これはラリーとチャンピオンシップをフルにサポートするためだったが、残念ながらシモーネは最終戦スペインでの出場を希望しているものの、チェコへの出場を断念することになった」

 ヤレーナは、1号車となったシュコダ・ファビアRally2 エボで今週末のラリーをスタートし、選手権のプレッシャーから解放され、ただ良い結果を出すためにドライブすることになるが、9度のチェコ優勝を誇るヤン・コペツキ、昨年の最終ステージでクラッシュするまでトップを走っていた地元期待の若手エリック・ツァイスといった強敵も待ち受ける。

 ヤレーナとフェルナンデスのERCタイトル獲得は、チェコ・ラリーがスタートする前に今週金曜日にズリーンで発表される予定だ。