WRC2022/11/20

ラッピ、タナク離脱発表の翌日にヒョンデから電話

(c)Hyundai

 ヒョンデ・モータースポーツで来季、フル参戦することが決まったエサペッカ・ラッピは、オイット・タナクがラリー・デ・エスパーニャのゴール後に今年限りでヒョンデを去ることを発表した、まさにその翌日にチームからフル参戦のオファーがあったことを明らかにした。

 ヒョンデは金曜日、ついに数週間にわたって秘密となってきたラッピとの契約を明らかにした。今年、4年ぶりにトヨタに復帰したラッピは、フィンランドを本拠とするトヨタに歓迎されながらもふたたびチームを離れることを決断、来年はヒョンデのi20 N Rally1を駆って世界ラリー選手権全戦を走ることになる。

 ラッピは今季、セバスチャン・オジエとGRヤリスRally1をシェアして7戦に出場、アクロポリス・ラリー・ギリシャが最後の参戦となった。ラッピはその時点では2023年もトヨタとハーフシーズン契約を継続、オジエとマシンをシェアすることになるだろうと認めていたが、運命は思ってもみなかった方へ転がる。タナクがスペインのゴール後、数時間もしないうちに今年限りでヒョンデを去ることを発表したからだ。

 ヒョンデのセカンドドライバー候補として、トヨタとの契約更新が濃厚でありながら、すぐにラッピの名前は憶測されることになった。まったく同じタイミングで彼が運営するRTE モータースポーツが所有していたトヨタ・ヤリスN5を売り出したことから噂に火が点いた恰好だったが、それはきわめて偶然ではあったが、核心を突いていた。

「本当に面白い偶然だったんだ。トヨタはもっと早くから売る予定だった。ラリー・デ・エスパーニャの週末の日曜日に広告を出したが、それと同時にオイットがヒョンデを去ることを発表したんだ。そして翌日の月曜日、ヒョンデから電話がかかってきた」とラッピはフィンランドメディアの『Rallit.fi』にむけて語った。

 その電話が、ラッピの未来に新しい風を吹き込んだ。彼はトヨタとの来季に関する正式な話し合いはなく、いつから登場するのかも知らなかったが、少なくともふたたび半数のイベントには乗れるという自信もあった。しかし、ヒョンデからのオファーはフルシーズンだった。彼は悩んだ挙げ句、この誘いを受けることにしたと明かしている。

「ヒョンデからシーズン通して走ってほしいというオファーがあったときは、真剣に考えなければならなかった。どうしたいのか、2、3日考えた。気になることが多すぎて、寝不足になったこともあった。でも、最終的には新しいレーシングスーツを選ぶことになった」

 ラッピはレーシングスーツの変更には慣れている。シュコダのワークスドライバーから、2017年にトヨタに移籍したが、その後、シトロエン、Mスポーツ・フォード、そして自身のプライベートチームのスーツを着たあと、再びトヨタのレーシングスーツに身を包んできた。そして、来年はまた新しいスーツを着ることになる。

 ラッピは週明け、ドイツでヒョンデi20 N Rally1の初めてのドライブを体験することになると明かした。

「学ぶべきことがたくさんあるだろう。今はまだ、マシンがどのように扱っていいのかも分からないが、多くの可能性を見出しているのも事実だ。ヒョンデは、シーズン後半に飛躍的に成長した。明らかに前進しており、アルゼナウを訪れてそれを理解することができた」とラッピは語った。

「クルマを見ていると、新しい部品がいくつかあるようだった。来年に向けてその開発を進めていくことになるだろう。楽しみだよ」