WRC2020/09/07

ラリー後記者会見:エストニアTOP3

(c)RedBull Content Pool

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―オイット、今シーズン初勝利です。ホームでの勝利、そしてヒュンダイでの初勝利を獲得しました。今の気分はどうですか?

オイット・タナク:「1位になれて幸せだと言わなければならない。実際とても厳しいラリーだった。普段、エストニアの道路はドライブするのがとても楽しいが、ここでの2回目の走行は非常に厳しいものになった。唯一言えることは、あのスピードですべてをコントロールするには、かなりの集中力が必要だったということだ。かなり集中しても、それでも予想外の驚きがたくさんあったので大変だった。プレッシャーは確かにあった。このイベントでポイントを獲得しなければならないことはわかっていたし、勝たなければならないと思っていた。僕たちにエストニアの経験があることは明らかなので、何かしらのアドバンテージがあったはずだ。もう一つは、これまでヒュンダイで勝利したことがなかったので、ここはそれが起こるべき場所だった。うまくいったが、それでもトラブルなく乗り切ると同時に最速を目指すというのは、かなりの大仕事だった」

―今回は誰にとっても大きな挑戦のようでした。あなたは以前もここで優勝したことがありますが、今回はWRCイベントでポイントも関係してくるということで、プレッシャーが違ったと思います。去年と比べてどのように感じましたか?

タナク:「まず、レベルが全く違った。誰もが最大限のパフォーマンスを発揮しようとプッシュしていた。それが一番で、それ以外の部分も、昨年からのものは何もなかったと言える。ステージの大部分が新しく、今までに経験したことのないようなコンディションだった。だから、今までとは異なるイベントだった」

―今日の最後から2番目のステージでは、ちょっとヒヤッとする瞬間がありました。あなたの基準でそれをヒヤッとする瞬間と呼ぶかはわかりませんが、その前にラッピが同じ場所でミスをしていました。そのことはどのように捉えていましたか?

タナク:「(ラッピのミスを)知っていて、実際、その場所ではスピードを落としたが、それでも道の端に追いやられた。この2日間で言えば、間違いなくそれよりも印象的な驚きやドキッとする瞬間があったと思う。でも、この時はテレビに映っていたからね。ヒヤッとする瞬間と呼ぶことにしよう」

―イベントの最後にチームに敬意を表していましたね。あなたは自分はソファーに座っていた時間が長いが、彼らは裏方で多くの仕事をしてきたと語っていました。この週末は明らかにあなた自身がハードワークをしました。現時点でチームについて何か言いたいことはありますか?

タナク:「まず第一に言わなければならないのは、僕たちはメキシコの後の時間を、1日1日、1分1分を余すことなく全力で使って、戻ってきた時には前よりも良くなっているようにしようと努力したということだ。以前の僕たちには何か欠けていたとしても、僕たちが間違いなくそれを埋めて高いパフォーマンスができることを、この注目度の高いイベントで証明できた。今週末は本当にハッピーだったよ。マシンは僕が望んだ通りに動いたし、印象的な前進だった。次はまた別のラリーだ。ラリー・エストニアは非常に特殊なラリーだったが、また新たな挑戦が始まる」

―2020年は非常に特殊な状況のため、今年はあまり多くのラリーが残っていません。タイトル争いは激しくなりそうですね。

タナク:「最後まで全力勝負になりそうだ。すべてが計画通りに進むことを願っている。世の中の状況はまだまだ困難なので、何が起こるか見守る必要がある。とにかく、自分が仕事をすべき時には、当然ベストを尽くすのみだ」

―マルティン、ホームでの勝利は特別に感じることと思います。WRCの再開は、大きな週末となりました。今の気持ちは?

マルティン・ヤルヴェオヤ:「ここ半年間とは違うアドレナリンが出ている。良い週末だったよ。オイットが言ったように、かなり難しいラリーだった。観客がたくさんいたので、ホームで戦えて良かった。ステージにはいなかったが、ロードセクションではたくさんいた。たくさんの応援があった」

―コドライバーとしての仕事という意味では、今までとは少し違った環境での作業となりましたが、今週末はどうでしたか?

ヤルヴェオヤ:「このタイムカードの件は、COVID-19の状況がなくても将来的にはありえると思う。でも全体的には大きな違いはなかったと思う」

―長年、多くのWRCドライバーがこのイベントに参加してきました。しかし、WRCのイベントとして、ライバルや友人たちが自国のレースに参加しているのを見て、どんな気持ちになりましたか?

ヤルヴェオヤ:「僕の故郷であるエルヴァでリグループしたときは、本当に特別な瞬間だった。僕が生まれたこの街で、今はWRCイベントとしてWRCマシンと共に、その街の駐車場に立っている。それは本当に特別なことだった」

―クレイグ、2位です。ヒュンダイ・チームでの初表彰台であり、この週末は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。イベント前は、このような結果になることを想像していましたか?

クレイグ・ブリーン :「いや、想像していなかった。正直に言って、ここまで良い結果になるとは思わなかった。でも正直なところ、イベント前のテストで最初の走行をしたときから、このマシンには少し驚かされていた。長い間R5のマシンに乗っていたから、いい形でリズムに乗れてスピードを切り替えることさえできれば、表彰台が狙えるんじゃないかと微かに思っていた。そして土曜日の朝には、すべてがうまくいったように感じられた。そしてラリーが進むにつれて、すべてに慣れてきて着実に自信を持てるようになった。表彰台を獲得できたことは素晴らしいことだ。ここにいる全員で7つの世界タイトルがあって、僕はそのうちの1つも持っていないんだけど、最高の気分だ」

―ペースはどのくらい速く、どのくらい大変でしたか?速いだけでなく、ナローでテクニカルで様々なものが混在していて、常に変化し続けているように見えました。ずっと気が抜けなかったですか?

ブリーン:「そうだね。最初の走行は、全体的に言って、とても楽しくて、フラットアウトでプッシュすることができた。昨日は特に午前中がとても良かった。そして2回目の走行は、少しトリッキーだったと言わざるを得ない。オイットが言っていたように、いくつかの場所では大きな驚きがあったし、ここでの問題は、場所によっては時速180-190kmでコーナーに突入しなければならないほど高速だということだ。2本の走行の間に岩や穴なんかが現れたりすると、本当にびっくりすることがある。そういった要素が少し厄介で、自分ではどうしようもないことを常に予想しなければならないので、楽しい気持ちは少し減るかもしれない。しかし、それでも信じられないほど楽しい。このマシンをドライブできるのは特権だ。本当に特別なマシンだよ」

―ステージを重ねるごとに自信がついてきたとのことですが、最終日には複数のベルトを手にした世界王者が後ろに迫っていました。オジエからのプレッシャーは感じていましたか?

ブリーン:「彼は僕には全くプレッシャーを与えていなかったが、(アンドレア・アダモを指差して)彼が僕にプレッシャーを与えていた。そっちの方がプレッシャーだった。今朝は少し早く目が覚めて、目覚まし時計が鳴る前から目が覚めたんだけど、プレッシャーは感じていないことにしておこうと思った。でも、一日の終わりには、絶対に結果を出さなければならなかったし、自分とポールの今後のためにも、契約がとても重要だと思った。最後のハードルで落ちてしまうわけにはいかないので、タフな場面もあったが、幸いにもリズムを維持することができた。そして最後のステージでは、リスクを冒さなかった。彼に何度も心臓発作を起こさせないように、もう少しうまくコントロールしたかったが、結果的にはうまくいったと思う」

―立場が逆転し、今度はあなたが彼にプレッシャーを与える番ですね。(アンドレア・アダモに向けて)次はいつブリーンに会えますか?

アンドレア・アダモ:「そういうことが私にプレッシャーをかけているのではない」

―私にははっきり分かりませんが・・・。クレイグ、1週間半後には復帰したいですか?

ブリーン:「明日だ。すぐにね。もちろん僕とポールはいつでもマシンに戻りたいと思っているが、待っているしかない。今週末はベストを尽くしたと思う。この結果以上のことは僕たちの範疇を超えていると思うし、現実的ではない。この結果を誇りに思うし、幸せだよ・・・。そして、様々な理由で困難だった数ヶ月間、信じられないほど懸命に働いてくれたチームには、本当に感謝している。彼らの必死の努力が報われた」

―ではセバスチャン・オジエに聞きます。このイベントを終えて引き続き選手権のリードを保っています。いいポイントを回収できましたね。セブ、ラリー・エストニアの最後にどう感じていますか?

セバスチャン・オジエ:「全体的には満足しているが、少し複雑な気持ちもある。選手権でポディアムに上がることはいつだっていいものだ。ただ、これまで世界中のラリーで経験をいくらか積んでいたとしても、エストニアは初めてだったし、ラリーを走った経験がある男たちとこのレベルで戦っていくことは当然厳しいものだ。今週末、勝利を目指して戦っていくことは大変だということは分かっていた、それにオイットを相手にそれをやるのはなおさら困難だということもね。目標はポディアムを狙って戦うことだった、そしてこうして僕たちはポディアムの上に立った。選手権のためにもとても有効なポイントであるのも確かだ。それでも複雑な思いがあるのはきっと、勝利を手にすることは非常に難しかったかもしれないが、オイットにはもっとプレッシャーを与えることが絶対できたはずだっていうことがあるからだ。2位にも十分届きそうだった。残念ながら僕たちはこの週末、すべてがうまく噛み合うような状態には持っていけなかった。昨日はタイヤに関する細かな問題があった。セットアップについてもところどころうまくできていなかった。確かに、そこまでいいとは言えないような週末の末、それでも17ポイントを獲れたなら十分良かったとは思っているよ、だからもう早くも次のラリーが楽しみだよ」

―トミ・マキネンが言っていました、このイベントに向けてテストを行なった時、もう少しスローあるいはテクニカルなセクションを織り交ぜることをしないで速すぎる道ばかりになってしまったのではないかと言っています。それが今週末に影響したのではないかとも言っています。そう思いますか?

オジエ:「まあ、テストはそんなものだ。実際のコンディション通りのものを自分が選択することになるわけでもないし、ラリーの時は常に変化する。今回ラリーのコンディションがテストの時と同じようにならなかったことを見抜くクレバーさが僕たちには足りなかったんだ。そしてセットアップをもっと早い段階で変更すべきだった。気づいたのが遅かったんだ。そういうものだ。何年もこのスポーツをやっていてもそういうことはある。最終的にそんなビッグなドラマでもない。僕たちはまだまだ十分なところにいる。選手権のポイントを大幅に広げることができたわけだ、1ポイントで(笑)。さて、次がどうなっていくのか期待しよう。少なくとも僕たちは最近またクルマを改良していくために懸命に取り組んできているから僕はすごく自信が持てる。(ラリー・トルコのために)ラフなコンディションにおいて、いくらか進歩させることができたから、ある程度時間をかけてそれが十分なのかどうか見極めていくのが楽しみだ。はっきりとしたことは言えないが、前に進んでいる。すべてに努力を重ねている、こうしたコンディションにおいてかなり改善されている。でもまた2週間後にまた同じようにできるのか、ということだ」

―その1ポイントはシーズンの最後に重要になってくるかもしれないですね、セブ!

オジエ:「すべてのポイントが重要だ。もちろん、獲れるならもっと欲しかったよ。今週末はパワーステージがもっともラフなステージだった。僕はこれまでのキャリアで常にこうしたコンディションの中でやってきて、こういう状態では思いきり攻めていくことは滅多にない。こういうラフな状況で生き残っていくために、ちょっとだけ何かを変えていく必要がなる。クルマがこのコンディションの中で速さを発揮できることが分かって良かった。カッレは驚異的なタイムを記録した。今週末の前向きな収獲だ」

(会見場からの追加の質問)
―ヤリスがトルコでもサルディニアでもこれまで優位だったことがありません。心配はありませんか?

オジエ:「正直、こうしたことはもう心配する必要はない。僕のキャリアの今の時点では、正直相当なことでないと何か心配することはない。でも、先週ギリシャで行なったテストは本当に満足できるものだった。うちのエンジニアたちもこの休みの期間を良い仕事に活かしてくれて、非常にいいアイディアをテストにもたらしてくれた。テストでそれを確認することができたよ。ものごとが前に進んでいることを確認できてもうワクワクしている。もちろん、トルコで道路掃除をすることは再び困難になるだろう。でもこのラリーではさまざまなことが起こる可能性がある。スピードは重要になってくる、クレバーになること・・さらにもっといろいろと」