ERC2018/07/22

ルクヤヌクがERCローマのレグ1をリード

(c)ERC

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 FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第5戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは、波乱のレグ1を終えてロシアン・パフォーマンス・モータースポーツのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)が首位をキープ、2位にはイタリアのスーパースター、ジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアR5)が15.8秒差で続く展開となっている。

 金曜日の午後にローマ市街地で行われた華やかなストリートSSを終え、土曜日から戦いはローマ郊外のターマックステージへと舞台を移した。ステージはバンピーであり、さらにインカットによって道路に土砂がかき出されてトリッキーなコンディションとなり、多くのドライバーがパンクなどのトラブルに見舞われるサバイバル戦となったが、その最初の犠牲者となったのは、昨夜、ローマで行われたスーパーSSでトップタイムをマークしたニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)だった。

 彼はこの日の朝のSS2ではルクヤヌクにトップを譲るも、遜色のないタイムで追撃、並みいるイタリア選手権の強豪を押さえつける速さをみせたが、彼はSS4でかき出されたダートにのってステアリングをヒット、パワーステアリングのオイルラインを壊してエンジンルームから出火してマシンをストップ。幸いマーシャルに消し止められてことなきをえたが、彼はこのトラブルで3分17秒遅れの22位まで後退してしまう。

 グリアジンは予選トップになって最初にスターティングオーダーを選ぶことができたにもかかわらず、彼は4番手のポジションを選択しており、その微妙な判断のズレが大きなミスへとつながり、表彰台は絶望的な状況となってしまった。

 問題が発生したのはグリアジンだけではない。朝のループで2つのベストタイムを奪ったルクヤヌクは、午後の最初のステージとなるSS5でもベストタイムを奪い、2位で続くジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアR5)へのリードを32秒まで広げてみせたが、実はラリー後、彼はこのステージでアンチロールバーを壊していたことを告白する。

「大きなマージンが得られたので僕らは慎重に行っていると言ってきた。しかし、実は午後の最初のステージでリヤのアンチロールバーが壊れていた。言ったら、誰かがプッシュできただろうからね。でも、マージンがあったのでリラックスして行けたよ」

 ルクヤヌクはタイムをじわじわと失い、快調なペースを刻むバッソが15.8秒差まで迫ってきたが、それでもどうにか首位をキープしてこの日を終えることになった。

 地元のイタリア選手権のドライバーにとっても試練の一日となった。オレンジ1レーシングのシモーネ・カンペデッリ(フォード・フィエスタR5)は昨夜のSS1ではドライブシャフトの問題に見舞われたものの、土曜日のオープニングSSからスパート、朝のループを終えて2位、イタリア選手権をリードすることになった。しかし、午後のループの最初のステージで彼はパンクのために3位に後退、さらに続くSS6で右フロントをパンクして7位にポジションダウン、スペアを使いはたしてリタイアとなり、ERC初表彰台の夢が消えるとももに、イタリア選手権でのタイトル争いも厳しい状況となった。

 カンペデッリのリタイアによって、SS6を終えてパオロ・アンドレウッチ(プジョー208 T16 R5)が総合3位、イタリア選手権の2位に浮上することになった。先週のテストで背骨を負傷した彼としては、ローマでノーポイントに終わることを避けるために参戦を強行することになったが、選手権のライバルだったカンペデッリとともにウンベルト・スカンドラ(シュコダ・ファビアR5)もSS2でマシンを止めているため、これで選手権のライバルは不在となってしまった。

 アンドレウッチより1つ前の総合2位のポジションにはバッソが堅実な走りを続け、イタリア選手権をリードしているが、彼は選手権争いにはノミネートしていないためポイント対象外となる。アンドレウッチは無理をしなくても最大ポイントが転がり込む状況となったため、終盤には大きくペースをダウン、ファビアン・クライム(シュコダ・ファビアR5)、グジェゴシュ・グジェブ(シュコダ・ファビアR5)に順位を譲って5位でこの日を終えることになった。

 また、朝のパンクで大きく遅れたグリアジンは、ERCジュニアU28のタイトルを争うクライムがU28をリードしていただけに必死にプッシュ、SS7を終えて総合12位、U28の4位までポジションを挽回したが、最終ステージでギヤボックストラブルのためにマシンストップ、リタイアとなってしまった。

「フィーリングは完璧ではない」と言いながらもノートラブルで総合3位、ジュニアU28をリードしているクライムにとっては多くのライバルたちがトラブルに見舞われたこともあってきわめてラクな展開となっている。朝のループをERCジュニアU28のトップで終えたクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)も多くのドライバーがかき出されていた石の犠牲になったSS5でパンクに見舞われ、土曜日を総合8位、ジュニアU28では2位を守ったものの、すでにクライムからは1分26秒遅れとなっている。

 ルクヤヌクに対して15ポイント差をつけて選手権をリードするブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)は、ツイスティなコースにマシンのセッティングが合わず、さらに午後のループではエンジンがカットするトラブルに見舞われたために6位と出遅れている。それでも最終ステージで彼はトップタイムを奪っており、「まだポディウムへの夢は失ってない」とゴール後に語っている。

 ジュニアU28の6位につけていたローラン・ペリエ(プジョー208T16 R5)はSS3でクラッシュしたためリタイアに、イングラムと同様にSS5のパンクが響いたフレデリック・オーリン(シュコダ・ファビアR5)は総合9位にとどまっている。

 ERCジュニアU27は、サンテロック・ジュニアチームのサイモン・ワグナー(プジョー208 R2)がリードしたが、彼はSS3で壁にクラッシュ、代わって首位に浮上したマーティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)が6つのベストタイムを奪ってレグ1をリードしている。