WRC2022/09/17

ルーベ、来季はWRC10戦を希望

(c)M-Sport

(c)M-Sport

 Mスポーツ・フォードのピエール‐ルイ・ルーベは、2023年についてはまだ何も決まってないとしながらも少なくとも10戦に参戦することを目標としていると語った。ルーベは、いくつかの成果を上げることができたことを喜びつつも、ファクトリーのレギュラードライバーたちと競争するには、より多くのイベントに参戦することが必要だと語っている。

 ルーベはアクロポリス・ラリーで自身初のステージ勝利を果たし、Mスポーツのチームメイトでラリー界の英雄でもあるセバスチャン・ローブから一時的にリードを奪うことに成功した。残念ながら彼は土曜日の朝、パンクに見舞われて初ポディウムのチャンスを失ったものの、6月のラリー・イタリア・サルディニアの成績に匹敵する自己ベストの4位でフィニッシュした。

 ルーベはギリシャの速さを披露できたことを喜びつつも、出走順のアドバンテージがなくなった土曜日の時点でトップドライバーたちに追い付かれたことから、彼らに近づくためには、来シーズン、より大きなイベントプログラムが必要だと考えている。

「最低でも10回のラリーがあれば最高だ」と、ルーベは語った。「7戦では間隔が長すぎる。最後のラリーがフィンランドで、2ヶ月前だったことを想像してほしい」

 ルーベはトップレベルのマシンでWRCのフルシーズンを完走したことはない。ヒョンデ2Cコンペティションから出場した2021年は当初、フル参戦の計画だったが、クラッシュなどのトラブルが重なったことで途中でプログラムを見直し、さらにパリで車にひかれて腰の骨を折るという不運によって、8戦で打ち切られている。

 それでもMスポーツに移籍した今季はキャリア最上位の順位を達成するなど、飛躍のシーズンとなったが、彼はさらに大きく前に進みたいと願っている。

「僕が前進するためには、もう少しリラックスして、トップになるための最後のステップを踏みだせるまで、あと1年か2年はかかると思う」

「ギリシャは(出走順の)アドバンテージがあったことはわかっていて、それを活かすことができた。しかし、アドバンテージが無い時にも彼らと戦うためには、もう少しドライビングを経験しなければならない」

 上位争いを繰り広げたローブやヒョンデ勢のオイット・タナクやティエリー・ヌーヴィルのペースに近づくためには、もっと経験を積まなければならないと語った一方で、ルーベは、もしパンクしていなければ実力で表彰台を獲得できたと考えている。

「正直なところ、土曜日のパンクがなければ、僕たちは表彰台を獲得するに値していたと思う」

「土曜日は、マシンに小さな問題がたくさんあった。でもとにかく、後悔はしていない。たくさん楽しめたし、僕たちにとっては素晴らしいラリーだった。他のドライバーと同等に走っていなくても、僕らにはパフォーマンスがあることを証明できた」

 ルーベが2019年にWRC2でチャンピオンに輝いたときには、イタリアとポルトガルで優勝しているが、いずれも低速でテクニカルなグラベルラリーだった。そのためルーベは、エストニアやフィンランドよりも、このアクロポリスを今季最も期待できるイベントのひとつに位置づけていた。

「低速のラリーでは、僕たちはペースを示すことができたと思う。今度は高速のラリーでもう少し頑張れば、もっと進歩できるはずだ」

 Mスポーツのチーム代表を務めるリチャード・ミレナーは、金曜日の午後、ルーベがパワーステアリングのトラブルに見舞われたにも関わらず、無事にマシンを持ち帰ったことに触れ、そのパフォーマンスを高く評価した。

「その日の最後のステージは、私から見て、彼の最も得意とするステージだった」とミレナーは語った。「彼はいくつかの問題を抱えていたので、フィニッシュすることを目標にしたんだ」

 今シーズンのフォード・プーマ Rally1が、ドライバーのミスやメカニカルな不具合で無事にフィニッシュラインを通過することが少ない中で、ルーベは最も安定したパフォーマンスを発揮している選手のひとりだ。

 ルーベは今季の6戦で自身の可能性を示したにもかかわらず、2023年にフルタイムでドライブするという話は今のところ出ていないとこぼした。

「様子をみているが、今のところは計画は固まってない」と彼は認めた。「それについては彼ら(Mスポーツ)に聞いてみてくれ」